ナンパされつい誘いに乗った私は…

・作

大好きな「なおにい」に告白したちょっとおバカなユイカだったが、なおにいの態度は冷たく、告白も断られてしまった。やけになったユイカは彼氏を作ってなおにいを見返してやる!と夜の繁華街へと繰り出す。そこで一人の男と知り合うが…

「なおにい、好き。付き合って」

「やだ」

「え~~なんで!」

なおにいは私の渾身の告白を無視して、手元のゲーム機に夢中。

「こんなにかわいい子が告白してくれてるのに断るなんて絶対損するよ!」

「自分からかわいいとか行っちゃう系の女子無理なんだわ」

「うう…」

なおにいの部屋の中でショックのあまりマリアナ海溝まで落ちていきそうな気分。
なんだよもう、なおにいの馬鹿。
こうなったらなおにいよりかっこいい人見つけて自慢してやるんだから!
側に置いたカバンを持って部屋の外に飛び出した。

「あ、おーい。夜までには家に帰れよー」

後ろから聞こえたのんきな声に余計に腹が立った。
いいもん。私今日から悪い女になるもん。

 

夜の繁華街はいろいろな人達でにぎわっていて、ちょっと怖そうな人達ともすれ違う。
そういう人達となるべく目を合わせないようにしながら、私はため息をついた。
なおにいのことは小さなころからずっと片思い。
幼馴染で二歳年上だったけど、小さなころからずっと一緒に遊んでいたのにこの頃冷たい。
だから思い切って隠してきた気持ちを告白したのに。なおにいの馬鹿馬鹿。
思い出すだけで泣きそうになってくる。

「あれ、君一人?よかったら一緒に遊ばない?」

茶髪のいかにもチャラついた男が声をかけてきた。
少し迷ったけど、なおにいのことが頭にちらついて返事してしまう。

誰でもいいから側にいてほしかった。
ひとりぼっちは嫌。
なおにいのこと思い出しちゃうから。

「いーねいーね、じゃあ遊びに行こうよ」

男に連れられて、夜の繁華街を歩き始める。
男はとても話し上手だった。何軒かお店を回って男がおごってくれた食べ物と飲み物を口にしながら、自分の名前や通っている学校のこと、好きな人に振られた話などつい話過ぎてしまう。
男のおごってくれた飲み物のせいもあったかもしれない。聞いたことのない名前の飲み物だったけど、甘くておいしくてたくさん飲んでいるうちに頭の中がふわふわになった。
そのうち眠たくなって、お店を出るころには男に寄りかかって歩いていた。
そこから記憶があいまいになって…

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