人魚姫は泡になるか? (Page 6)

 ゆっくり、ゆっくりと肉茎を深く女の体へと埋めていく。
 半分ほど侵入したところで毅は前進を止めた。
 
「どうしたの?」
「入れたら、ちょっと待ってからの方がいいって」

 ネットで見た、とは見栄で言えず、毅の言葉が尻すぼみに消える。
 
「ありがと」

 そのまま二人は立った状態で挿入し、しばらく抱き合っていた。水中でなければきっと同じようにはできなかっただろう。
 
 お互いの呼吸が整ったところで、毅はじわじわと腰の動きを再開させた。
 最初は挿入し、不用意に射精しないことで精一杯だったが、今は里緒の中を感じ取る余裕が生まれていた。
 
 肉の襞がぴっちりと陰茎を包み、強烈な締め付けで咥え込んで離さない。もちろん、処女だった彼女の膣は十分には解されておらず、締め付けばかりが強い。だが、挿入しているのも童貞なので、そんな違いはもちろん分からない。
 
 ただ、お互いの肉の熱さと艶を帯びた吐息を感じ合うだけだ。
 
 しっかりと抱き合い、舌を絡ませて唾液の交換をする。そして、挿入された処女肉は次第に解れ、痛みと精神的な満足感だけでなく、媚肉の歓びを手にし始めていた。
 
「ん、ん、う、はぁ、あん、はぁ、くぅ」

 耳から侵入する嬌声が毅の理性もしとどに溶かしていく。
 初めて男を、女を知った二人は、肉欲の高まりに恭順してより感じる部分を探り当てようとしている。
 
「あ、そこ、気持ちいい、もっと、して、毅、もっと、そこぉ」
「里緒、そんな動いたら。出る」
「いいよぉ、中に、一番奥に出して、毅の精子、一番奥にぃっ」

 ぎゅっと膣が収縮し、蠕動する。その不随意の本能に刻まれた男の精を搾り取る肉の蠢きに、脱童貞したばかりの毅が敵うはずもない。
 
 手足を使って体を固定され、膣肉に扱かれて、毅は里緒の最も深い位置で、子宮口めがけて射精した。どくどくと自慰とは比べ物にならない量の精液が吐き出され、腰が震えるほどの射精の快感が脳まで達する。

 しばらくすると硬度を失った毅の男根が膣の外に顔を出した。追いかけるように精液がプールの水に混ざる。
 
「あ、やば」

 慌てて二人はプールから上がった。
 そのままプールサイドに寝転がり夜空を見上げる。
 薄雲がいつの間にか流れ去り、町灯りは遠くなっていた。星が微かだが瞬いているのが分かる。
 
「里緒」
「なぁに」

「明日から、勉強な」
「見てくれるの?」

「どうせ、部活ないんだろう」
「うん」

 ぎゅっと里緒が毅の手を握る。
 その意外な力強さに毅は驚いた。
 
 陸に上がった愚かな人魚は、いずれ泡になるか?
 なるわけがない。
 この力強さで逞しく生きていくだろう。

(了)

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