卒業旅行のバスの中で (Page 3)
「そのまま、ゆっくり来て」
―――その時、外で人の声がした。
俺たちは、じっとその体勢で動きを止めて声が遠ざかるのを待った。
「びっくりした。続けていいわよ」
俺は、ゆっくり入って行き、つながったまま、
「佳子ちゃん。好きだったよ、あの時から」
「あたしも」
彼女はそう言って抱き着いてきた。
「これでいい?」
俺は、ぎこちなく出し入れした。
「あー、いいわ」
彼女の切ない表情が目に入り、もう我慢できなくなり―――
「佳子ちゃん、もう出していい?」
「うん、いいよ。私もがんばる」
ぎこちなくも二人で腰をうごかし―――
「出していいわよ、行きそう」
「あ、出る」
「行く」
彼女は、そう言いながら、顔を俺の胸に沈めて、腰を激しく使った後、動きがとまった。
「お客さんが大学生と聞いて、もしかしたら会えるかもしれないと、ちょっと期待してたの。ここまでの関係になるとは思ってなかったけど」
「俺も、会った時はびっくりしたけど嬉しかった。だけど知らないふりしてたから、ちょっと落ち込んでた。」
「だって、仕事中だから。明日も、知らないふりしてよ。絶対、このことは秘密にしてよ。」
「わかったから、連絡先を教えてくれる。」
「いいわよ」
連絡先を交換して時間を見ると、かなりの時間がたっていた。
「やばい、こんな時間だ。戻らないと何言われるかわからない」
「絶対秘密だからね。明日もよろしくお願いします。」
そう言った彼女の顔は、バスガイドの顔に戻っていた。
バスを後にし、ホテルに戻った。
翌日、彼女は何もなかったようにバスガイドの仕事を淡々としていた。
旅行が終わり、彼女はバスガイドの顔で
「ありがとうございました。」
と言って、バスから俺たちを降ろして出ていった。
バスを見つめると、バスの中の彼女が特別な笑顔で手を振ってくれたように思えた。
昨日の夜は夢じゃなかったと「ほっと」し、スマホを取り出した。
(了)
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