体験談
ライターである筆者が収集した二つの体験談。ひとつは育児に疲れた主婦の短い体験談。もうひとつは奇妙な女性に誘惑され、肉体関係を持った男性の体験談。奇妙に縺れ合う二つの体験談に共通する都市伝説を、あなたはご存じだろうか……?
ライターという仕事はパソコンに齧りついているように思われがちだが、実際は外へ出歩いて人と話すことも多い。
むしろ、パソコンで文字を打っている時間よりも、トータルでは人に話を聞く準備をしたり、聞いた話を整理したりする時間の方が長いのではないだろうか。
そうして見聞きしたことで記事を書く訳だが、私はとあるオカルト系統の記事を書く機会に恵まれた。いわゆる実話怪談の類で、実際に体験したという方から話を伺うことで記事を纏める方向と相成ったのである。
今回、皆様の目に触れるのは、そうして私が聞き綴ったものの内の二つ。
その二つの体験をご覧頂く前に、伺ったお話をそのまま開陳している訳ではないとご承知おき頂きたい。
体験者の個人情報や勤め先のことなど、詳らかにはできない事柄。そして、肝心の体験にはあまり関係ないことなどは、筆者が可読性を重視して編集しているからだ。
また、二つの体験談をご覧頂く場所。そのことを鑑みて、ある程度以上に物語調に著者が加筆しているものと思って頂ければ幸いだ。
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女性・46歳(当時)・パート
私が一人目を生んで、少ししてからの話なんですけど。
何と言うか、ちょっと旦那と上手くいってなくて。私も初めての子供で色々と分かってなかったし、旦那は旦那で子供が生まれたからって仕事で張り切っちゃって。
あはは。
今にして思えば、もう少し話をするだけで良かったんですけどね。
でも、あの時はお互いに子育てにいっぱいいっぱいで、どうにもならなかったっていうのが本音ですよね。
うちの子はあんまり夜泣きはなかったんですけど、それでも疲れんるですよ、子育てって。
旦那が仕事に行って、子供が昼寝とかする時間って私も休めるんです。そうするとやっと私もゆっくり寝れるなーって。
一日の内で下手すると30分もないんじゃないかな。色々なこと忘れて、自分だけの時間になるの。だけど、子供をほっぼり出して出かけることなんて絶対にできないし、じゃあその時間をどうするかっていうと、寝るか、ぼんやりしてる。
一日の隙間みたいな時間。
そういう時間なんじゃないかな、魔が差すっていうのは。
その時間にね、私、浮気することにしたんです。
あっ、本当に男を引っ張り込んだとかじゃなくて、空想でね。
私、妊娠する前はスーパーでパートやってて、そこで一緒に働いてた若い子に聞いたんです。
目を閉じて、自分の家を想像する。次に玄関から入って順番に全部の部屋の窓を開けていく。そうしたら開けたのと反対の順番に窓を閉めていく。
濡れました。
不思議だよみごたえもありましたが
同時に同じ立場の女性として共感もできるし
なによりリアルな性交のシーンが男性目線でしか画かれていないところもとても気に入りました。
なお さん 2023年6月26日