体験談 (Page 4)
思わず生唾を飲み込んだAさんの喉から背後の手は滑り落ち、胸元で止まる。薄汚れたシャツの上から胸板をなぞり、乳首を指でねぶられた。
男にも女にもある器官だというのに、どうして感じ方に差があるのだろう。Aさんはそんな疑問を持っていたが、それは今まで関係を持ってきた女達が、本当に男を悦ばせる手管を持っていなかった。ただ、それだけのことだとAさんは身をもって知ったのだ。
胸板を羽のような軽さで撫でるだけで、Aさんの股間はズボンを押し上げていた。
辛抱できなくなったAさんは手を掴み、股間をズボン越しに握らせる。痛かった。ズボンの布地が勃起した性器の先を擦って痛い。
これでは到底満足できないではないか。
鼻息も荒くAさんはズボンを脱ぎ捨て、背後にいるであろう女に向き直った。そこには夢幻のように現れて、泡沫のように消え去った女が横座りをしていた。斜めに重ねられた女の足は貝のように閉じており、それを開かせることは大変な快感に繋がっている。そんな予感を無根拠にAさんへ抱かせたという。
だか、それよりも先に。
Aさんはいきり立った自らの性器を女の眼前に、凶器のように突きつけた。
女の口を堪能したいと思ったのだ。Aさんは元々口淫を好んでいたが、この時分に付き合いのあった女は嫌がっていた。
だからこそ、久方ぶりに女の口の中にある熱を楽しみたいと考えたのだった。
この時になってAさんは初めて、まじまじと女の容姿を見ることになる。
平凡な顔立ちの女だと思ったとAさんは言う。少しばかり疲れた顔をして、化粧は一切していなかった。髪は整えてあったが、顔の脇から流れた黒い穂先が口元へ寄っており、それが奇妙な色香を伴っている。
胡乱な顔をしていたが、女はAさんが唇に鈴口を押し当てた段になって、ようやく理解したらしい。色の薄い唇が上下に割れ、その間から赤々とした舌が這い出てくる。
「おぉ」
鈴口の割れ目をなぞられ、Aさんは思わず呻き声を上げた。先端をてからせていた我慢汁を舌で掬われ、それ垂れ流していた尿道をほじられたからだ。痛みはなかった。ただただ快感だけが理性を薄める。
頬をすぼめ、女が顔を軽く前後させた。自慰など比べ物にならない快感が男根全体から生まれる。さらに舌が裏筋をなぞり、きついぐらいの吸い付きと合わさって我慢する間もなく、Aさんは睾丸から精子が登ってくるのを感じた。
ますますAさんの一物は太くなり、血管が脈打って表面に現れた。ぷくっと先端が一回り膨れ、我慢などできようはずもなくAさんは射精する。
口から男根を引き抜いたAさんは、支配欲に従ってどくどくと生臭い精液を女の顔に吐き出し、Aさんは背筋を這い回る快感に震えた。
べっとりと粘度の高い精液を顔にまとわりつかせ、女はうっすらと笑う。
それを見たAさんは、自分の中で決定的なものが切れるのを感じた、といった。
濡れました。
不思議だよみごたえもありましたが
同時に同じ立場の女性として共感もできるし
なによりリアルな性交のシーンが男性目線でしか画かれていないところもとても気に入りました。
なお さん 2023年6月26日