新入社員が天才な牝犬だった件 (Page 2)

 彼女はその場に尻餅をつき、俺は慌てて手を伸ばしてそのまま固まった。

 手をとった女性が由紀だと気が付き、本気で心臓が止まるかと思った。

 軽くウェーブした茶色い猫っ毛、茶色くて大きな瞳は長い睫毛に彩られ、僅かに垂れておっとりとした印象を抱かせる。

 ピンク色の唇はやや薄いがプクリと膨らんで柔らかさを主張しており、その上の細やかな鼻は真っ直ぐな鼻梁が全体をシャープに見せる。

 そんな可愛さと美しさを兼ね備えた彼女を忘れるわけないだろう。

 しかし、俺が固まったのはそこではなかった。

 リクルートスーツのスカートが捲れ、大きく開いた脚の間に視線が吸い込まれる。

「せん、せい?」

 驚いたような呟きにハッとした俺は、彼女の腕をとって立たせた。

 いろいろな感情が綯い交ぜになって怯えるように潤んだ瞳を向けてくる彼女は、僅かに身体を震わせていた。

 少し大人びた彼女の顔に、懐かしい日々がフラッシュバックする。

 ほんの出来心で始めた、俺と彼女だけが知っている秘密の特別授業。

 そんな思い出に、俺の中の黒い何かがムクリと頭をもたげてくる。

 頭の片隅で「逃げ出したくせに」と避難する自分の声が聞こえたが、黒い獣欲がそんなもの押さえ付ける。

「面接でノーパンってどういうこと?」

「っ! わ、私、その……」

 怯えきった子犬のような瞳を逸らした彼女は、慌ててスカートの皺を伸ばした。その拍子にピクリと肩が震えたのを俺は見逃さない。

 彼女の腰に腕を回し、引きずるようにしてトイレに連れ込んだ。

 ドアを閉めた時に札のようなものが手にあたり、ズキリと傷む。

「せ、先生、ごめんなさーー」

「静かに。誰が来るか分からないだろ」

 彼女はハッとしたように口を噤み、救いを求めるように俺を見つめる。

 しかしその目がますます俺の加虐心を擽った。 

「これから面接だからか?」

 俺は舐めるように彼女の身体を見ながら、腕から肩をそっと撫でる。

 いかにもなリクルートスーツが、豊かな双丘と細い腰を隠していて残念だ。

 ピクリと肩を跳ねた彼女が、俺の目を見てコクリと頷く。

「……先生。あ、あのーー」

 彼女はそれ以上言葉を継げず、ぐっと歯を食いしばった。

 俺の指が柔らかな太腿を滑り、湿度の高い谷間へと潜り込んだからだ。

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