教え子モデルとの甘々な性活

・作

清水教授は悩んでいた。それは彼のゼミに在籍しているが、現在は休学し、モデル活動中の塩入浅黄(しおいりあさぎ)のことだった。教授はこの女子学生のことを憎からず思っていたし、相手も同じ気持ちだった。しかし、ちょっとしたボタンの掛け違いから、仲違いしてしまう。しかし、ある休日、塩入浅黄が清水教授の家を訪れたことから、時は再び動き出す。

「私は……、姪を抱いてしまったよ」
「はぁ……」

 久しぶりに恩師である西元教授と酒席を得たと思ったら、いきなりとんでもない告白を聞かされてしまう。
 勿論、気の利いた答えなどできず、私はただ曖昧に頷くしかなかった。
 しかし、そんな反応など西元教授は想定済みだったのだろう、別に気分を害した様子はない。

「中沢真緒香、清水君のところの授業にも顔を出しているはずだよ」
「中沢さんですか?」

 その名前には聞き覚えがあった。
 確か、私の講義にも出席したことがあったはずだが、あまり印象はない。
 成績は非常に優秀だったのだが、どんな顔だったか、さっぱり覚えていなかった。
 少なくとも、目の前の西元教授が劣情に負けてしまうような相手だったろうか。

「覚えておらん……、というような顔をしておるな」
「すみません」
「かまわんよ。むしろそっちのほうがありがたい。あの娘の美しさを私だけのものにできるからな……」

 西元教授の声にはどこか狂気じみた色合いがあった。
 ただ、そう言い切ってしまう教授が私にはうらやましく思えてしまう。
 そんな私の心の中を読んだかのように、西元教授が言葉を続けた。

「清水君も心に思う人があるのならば、時には踏み出してみたらどうだ?」

 そう言われ、私の頭の中に一人のゼミ生の顔が浮かぶ。
 塩入浅黄。
 まずまず優秀な学生だったが、現在はモデル業を兼務しているせいもあって、ゼミから足が遠のいていた。
 ギリッと奥歯を知らず知らず噛みしめてしまう。
 苦い思い出が頭の中を駆け巡っていた。
 そこに、追い打ちをかけるように教授は囁きかけてきた。

「……手が届かなくなって後悔してからでは、遅いぞ」

 アルコールが回っているせいだろうか、その言葉はまるでメフィストフェレスの誘いのように聞こえるのだった。
 そして、西元教授と別れて家路についた時だった。
 珍しく深夜にメールが届く。
 こんな遅くに誰だろうか、と思って開くと、塩入浅黄からだった。
 メールの要件は、スケジュールが空いたので、休日だが家に質問に行ってもよいかというものだった。

「これは!? どうするか……」

 勿論、熱心な学生の相手をするのを好んでいるので、休みの日に相手をすることに忌避感はない。
 ただ、今の気分で彼女と二人きりになったらどうなってしまうのか。
 しかも、家に学生を招くというのはどうなのだろうか。
 不安しかなかった。
 ただ、頭の中に再び西元教授の「後悔するぞ」の声が鳴り響く。
 私はルビコンを越えるカエサルのような気持ちで、了承の返信を送ってしまった。

「まあ、深夜だから見るのは明日だろうな……」

 そんな気軽な気持ちだったのだが、すぐに彼女から『ありがとうございます』と返ってきた。
 待っていたのだろうかという、ちょっと期待してしまう。

「まあ、そんなことはあるまい。それよりもだ……」

 塩入浅黄が来るということで、家を片付けねばならない。
 そんなことに気が付いた私は、そそくさと歩を進めるのだった。

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