電車内の誘惑

・作

 香織は満員電車で通学していた。ある日、痴漢に遭うが、痴漢されている所を写真に撮られてしまい、要求に従うことになる。そして痴漢され続けるうちに、次第に感度をあげられていってしまう。やがて、最後の一線を越えることになっていく。

その日、香織はいつもと同じように通学のために満員電車に揺られていた。
 ブレザーを押し上げる胸は思春期の香織にとっては恥ずかしいものだった。少しでも小さく見えるように吊り革を持つ手で押さえる。

 最初は、なんか当たってる、混んでるからかな……と思っていたけど、お尻を撫でるように手が這い始めて、香織は唇を噛んだ。
 痴漢だ。……駅員に突き出してやる。

 香織は痴漢の手首をつかもうとして、逆につかまれた。
「えっ……?」
 驚く間もなく、口を手で覆われる。

「んぐっ?」
「しーっ。おとなしくしていた方が君のためだ」
 後ろから耳元で、男が囁いた。意外にも低く甘い声をしている。密着した身体からは何だかいい匂いがした。

 暴れかけたけど、後ろで両手首を何かで縛られた。シャツのボタンをはずされてブラジャーをむき出しにされる。
「ひっ!」
 男の手がブラジャーの下に潜り込んできて、香織の胸をつかんだ。

「大声を上げてもいいよ。だけどそれで困るのは君の方じゃないかな? 俺はすぐに姿を消して、君は変質者扱いされるだろうな」
「うぐ……」
 男の右手が胸を揉み、左手は身体のあちこちを触ってくる。

「は……ん、あっ」
 後ろから首筋を舐められて、ぞくんと震える。思わずうつむくと、シャツの襟を下げられてうなじを吸われた。
「乳首が硬くなってきたね」
「あ……」
 嘘……電車の中で痴漢されているのに……。

「痴漢されて感じているのか?」
「え……? や、も、やめ……」
「君の身体はやめてほしくなさそうだけどなあ」
「この、変態……あ、う」
 こするスピードが速くなって、香織は腰を揺らした。

「くうう……っ。ん……んん!」
 我慢できず、香織は軽くイッてしまった。力が抜け、ぐたりと男に背中を預けてしまう。
「は……あっ」
「これは返しておくよ」
 携帯電話を目の前で振られて、いつの間にと驚く。

「メールを送っておいたから、見ておくように。見なければ後悔することになる」
 電車が駅に着いて乗客が動いた。その波に紛れて男が離れていく。
「それでは香織さん、また会えるのを楽しみにしているよ」
「あ……」

 男が降り、電車が動き始めて、香織はあきらめてメールを見た。
『この写真をばらまかれたくなかったら、明日も同じ時間の同じ車両の電車に乗れ』
 香織が電車内で胸を露出して揉まれている写真が添付されていた。
「嘘……」
 こんな写真をばらまかれたら終わりだと、香織は青くなった。
 

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