憧れの後輩は痴女? (Page 2)
「先輩は私のことが好きなんスよね? だからきっと、今も2人きりでドキドキしてるッス」
「ちょ、お前!」
すぐ隣に屈んで、俺の瞳を覗きこむように小首を傾げる真奈に、心臓がまたドキンと大きく跳ねる。
落ち着こうと大きく息を吸うと、彼女の香水の香りが胸を満たして余計に鼓動が早まった。
小さな手が俺の手に重なり、持っていた書類を机に戻させる。
「ははは、すごく暖かくて大きいッスね。手が大きい人は肝が小さいってのは、噓じゃないんスねえ」
「っ! 待て、ちょっ」
彼女が俺の手に頬擦りした。
すべすべで柔らかい頬を、ざらついた俺の指が撫でる。
「ふふ。男の人って指先も固いんだ」
「な、何してんだ。やめ―――」
俺が手を引っ込めようとすると、真奈がムッとしてスマホの動画を見せてくる。
俺は動きを止めて、ゴクリと喉を鳴らした。
「……セクハラッスよねえ、これ。どうします?」
「い、一条、お前……」
「ははは、安心して下さい。先輩の態度次第ッス」
「……なにが欲しいんだ?」
「ははは、さすが先輩、話が早いッスねえ。んーと、まずは名前で呼んで下さいよ。こ・う・たさん」
「は? お前なに―――」
「お前?」
「ま……真奈」
顔が熱くなるのを感じ、思わず視線を逸らせる。
まさかこの歳になって名前を呼ぶだけで照れてしまうとは……。
緊張して手先が冷たくなっているのか、指に触れる真奈の頬が熱く感じる。
「んー、もう1回」
「あのな、なんの意味が―――。痛っ!」
抵抗したが、ちょうど彼女の口元にあった親指に歯を突き立てられた。
「もう1回」
「……真奈」
「んん……、はあ。……目を見て呼んで下さいよお」
真奈が熱い吐息を漏らして、囁くように言った。
さっきとは違う、甘えるような声音だ。
胸がキュッと締め付けられ、脅されているというのに彼女が愛しくて堪らない。
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