僕と妹の灼熱(あつ)い夏休み (Page 3)

 そして僕が帰京する前日。舞華は朝からソワソワしていた。僕はあまり気に留めてなかったが、舞華は僕に何か言いたげだ。

「舞華? どうした? お兄ちゃんに何か言いたいことがあるのか?」

 舞華はビクッとして動きを止めた。そして、恐る恐る僕のほうを向き、

「お兄ちゃん?」

と切り出した。

「何だい?」

 僕は返した。舞華は、

「お兄ちゃん? あたしが何を言っても驚かない?」

と訊いてきた。僕は「驚かない」と返した。すると、舞華は

「あたしが何を言っても引かない?」

と訊いてきた。僕は

「う~ん……内容にもよるけど……大概のことには引かないよ?」

と答えた。舞華は

「……うん、それじゃあいい……」

と言ってうつむき、黙り込んでしまった。僕は気になったので、

「舞華? 何を言われても引かないよ。舞華、どうしたんだい?」

と訊いた。舞華は伏せていた目を僕のほうに向けながら、

「……本当に?」

と訊いた。僕は「うん」と返事をした。すると舞華は、おずおずと言い始めた。

「お兄ちゃん。えーっとね?……あたしの好きな人って……お兄ちゃんなの!……」

 僕は驚いた。確かに驚いた。しかし、ショックを受けた、というほどではなかった。なぜなら……

「実は……」

「実は?……」

「お兄ちゃんも……いつからだろう?……ハッキリは分からないんだけど……いつの頃からか……舞華の事を意識していて……好き……だったんだ……いや、好きなんだ……」

 すると舞華は真っ直ぐに僕のほうを見て、少し頬を赤らめて微笑みながら、

「嬉しい……」

と言った。そして、

「お兄ちゃん……東京に帰る前に、あたしを抱いて?……」

 僕はゴクリと息を飲み込んだ。頭に、顔に、カーッと熱いものが上ってくるのが分かった。僕は少し不自然にうなづきながら、

「うん……僕も舞華と1つになりたいよ……」

と答えた。舞華は頬を赤くしながら、

「ありがとう……」

と小声で言った。僕はそっと舞華の頭をなで、そして抱きしめた。どのぐらい抱き合っただろうか? 僕らはどちらからともなく口づけを交わした――

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