エレベーターが止まったら (Page 3)
「良かったですね、10分くらいって言ってたんで…あっ」
「ん?」
「増田さん寒いでしょう!その格好じゃ…」
「いえ全然、全然大丈夫ですよ」
振り返ってひかりの姿を見てみると、彼女はルームウェア姿で上着も着ていない。
いわゆる女性のルームウェアで生地はもこもこと厚みがあるように見えるパーカーだが、冬に室外でずっと過ごすには寒すぎるだろう。
「ちょっとゴミだけ捨てるつもりだったんでこんな格好で出てきちゃって…恥ずかしいですね」
苦笑いで言うが、ひかりの声はさっきまでとは違う意味で少し震えている。
エレベーターが止まってまだ5分ほどだが、身体が冷えてしまっているのだ。
「あの良かったらこれ」
隆太は考えるより先に自分が着ていたコートを脱いだ。
「いやいやそんな!大久保さんが寒くなっちゃいます」
「僕の方こそ大丈夫です下もスーツなんで…増田さんがご迷惑じゃなければ羽織っててください」
恋人でもない異性の上着など、寒くても借りたくないと思う女性は多いかもしれない。
考えなしに動いてしまった自分を少し悔いながら、差し出したものを引っ込めることができず隆太は食い下がった。
「迷惑だなんて…じゃぁ、ちょっとお借りしていいですか?」
「もちろん」
ひかりは隆太のコートを受け取って羽織り、ふぅと息をついた。
「ありがとうございます…正直助かります」
「いえ」
アパートのエレベーターは商業施設のものと違って、狭い。
ひとつ会話を終えた密室で再びしんとした沈黙が訪れると、2人で乗っていても距離が近いことに隆太はなんとなくドキドキしてしまい、ひかりから顔を背けてエレベーターのボタンの方に向き直った。
普段、会社で見るひかりは綺麗に化粧をして、必ず襟付きのシャツを着ている。
職場でのひかりはそのシャツ姿で、大きなバストが白いシャツをパツパツに張らせている。
補正力のある下着で上向きに整えられ、おそらく押さえつけられてなお、その大きさが主張して余りあるひかりの大きな乳房は、ルームウェア姿での破壊力がまた一層すごかった。
隆太のコートを羽織った今ではやや隠れたが、ルームウェアの柔らかい素材は彼女のボディラインをそのままなぞっていたためバストの重量感もはっきりと見てとれた。
そのラインを、エロい目で見るなというのは隆太には無理な話だった。
おそらく下着も締め付けのないタイプのものをつけているか、或いはもしかすると…
と、そこまで考えたところで隆太は自分が今までになく興奮していることに気が付き、そしてそれを悟られてはいけないと慌てて声を出した。
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