ATMより愛を込めて (Page 7)
「飲みたかったか」
そんな言葉で唇についた精液を指で口の中へと沈める。指先に触れた舌がすぐに吸いつき、チュパと音を立てられた。
「美味いか?」
尋ねれば結香は首を横に振った。
「他の男の方が美味いか」
尋ねた声は隠しようが無いほど、苛立ったものだった。こんな扱いをしておいて、好かれることは無いだろう。
「……きーちゃんの方がマシ。でも、ふふ、嫉妬してくれるんだぁ」
べ、と舌を見せればピンクの舌の上に白い粘液。
「きーちゃん、私ねぇ結婚したいな」
「は?」
「きーちゃんから借りていたお金、実は全部とってあるの」
「え」
「結婚資金にしようと思って」
「誰と」
その問いかけに結香はにんまりと笑みを深めた。
「誰って、きーちゃん以外いないでしょ」
待ってくれと棋一朗は慌てた。
「なんで? 私のこと、好きでしょ?」
「いや、でも、」
「気持ち良かったでしょ?」
「それは」
「きーちゃんに満足してもらうために、練習いっぱいしたんだよ」
「ゆ、いか…」
「私、物覚え悪いけど、きーちゃんが言っていたでしょ。何回でも復習すれば覚えられるから落ち込むなって。だから私、頑張ったんだよ。好きでもない男と何回もシたの」
きーちゃんに喜んでもらいたくて、と笑いながら結香は棋一朗のペニスに触れる。
「いい子、いい子」
撫でるその手のやらしさと、結香の表情がどうしても結びつかず棋一朗は息を吐く。
「私もいい子でしょ? だって、きーちゃんの言うこと聞いてたでしょ?」
にこにこと笑いながら、撫でていた指をぺろりと舐め、そしてその指を足の間へと挿し入れる。
「ヌルヌルしてる……」
もじ、と足を動かし指を前後に動かし、ペニスを舐める。
「お、い……止めろ。もし手に精子がついてたら」
焦った棋一朗が結香の手を止めようと動く前にペニスがパクリと口の中に入って行く。
先程よりも激しく吸われ棋一朗は吐息しか出す事が出来ない。
ズルズルとわざと空気を入れ込み音を大きくしつつ、結香の口元が歪む。
「きーちゃん、さっきのねぇゴム、安全だと思った?」
結香の言葉に棋一朗は反論したいが、口が離れても空いている片手で扱かれ、何も言えない。
「あれねぇ、安全じゃないかもしれないねぇ」
くつくつと笑い、結香は先程の捨てたコンドームを取り出した。
そしてゆっくりと力を入れるとすると縛ったはずのコンドームの先からぽたりと滴が落ちた。
「穴、空いてたらどうなるのかなぁ」
結香は笑いながら精液が入ったコンドームに口付ける。
「ちょっと待ってくれ、結香、何言って……」
「小さな頃の約束忘れた? きーちゃん、私と結婚したいって泣いてたじゃない」
そんな子供の頃の戯言、そう言いたいのに目の前の結香の口淫により喘ぐ声しか出ない。結香の激しい舌使いに棋一朗のペニスはまた射精感を覚える。
「口の中に出していいよ」
レロ、と亀頭を舐め上げればそこで棋一朗はゾクゾクと這い上がる快感のまま、射精してしまった。
3回目となるのに、ペニスはビューっと精液を吐き出し結香の顔にかかる。
「飲めなかった」
笑いながら赤い舌が唇を舐めた後、またペニスに唇を寄せ残滓を吸い上げる。
吸った後、竿の部分に舌を這わせ全て綺麗にしていく。
「結香……」
「ん、綺麗になった」
ペニスをじっと見つめている結香に棋一朗は何も言えずその光景を見ている。
「私、いい子でしょ? いい子の私がこれからずぅっときーちゃんのいい子を私の中でいい子いい子してあげるから」
そう微笑み、結香はペニスから唇を遠ざける。その顔には先程放ったばかりの白濁がべっとりと付着している。
「小さい頃の約束を守れる結香はいい子でしょ?」
ほら、撫でてと頭を動かす。
狂気に満ちる空間の中、棋一朗は言われるがまま結香の頭を撫でれば幸せそうに結香から小さく笑い声が漏れた。
(了)
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