筆下ろしは幼馴染み?!
私は地元企業でOLをしている恵理。最近、2つ年下の大学生で幼馴染みの博孝に、初めての彼女ができたらしい。そんなある日、博孝が私の家を訪ねてきた。どうやら、のっぴきならない頼みごとがあるらしい。その頼みごとというのが…
窓の外を、若い男女が手をつないで歩いてる。左側を歩く、眼鏡をかけた優男が東博孝。大学3年生で、私の幼馴染み。右側を歩く、小柄でポニーテールがよく似合う女の子が長野美佐さん。最近できた、博孝の初めての彼女。博孝とは大学で同じサークルらしい。2人は何やら話ながら、「ふふふ」と笑って窓の景色から消えていった。
日曜日の昼下がり。私はふっとため息をつくと、テーブルに置いていたレモンティーを飲んだ。私の名は木嶋恵理、22歳、OL。この春に大学を卒業し、地元の小さなIT企業の経理をしている。大学時代に付き合っていた彼氏はいたけど、お互い就職し、遠距離恋愛となり、自然消滅してしまった。だから、博孝が少しうらやましかったりして。私はまたため息をついた後、思わず苦笑してしまった。ダメダメ、恋愛も大切だけど、今は早く仕事に馴染まなきゃ!
それから数日経ったある日。
プルプルプルッ!
博孝から電話があった。
「よっ!博孝!彼女とは上手くいってるの?」
「う…うん、上手くいってるよ…」
電話越しに、博孝がモジモジしているのが分かる。
「ははぁん、博孝、さては彼女に何かやらかしたね?!」
博孝は大きな声で否定した。
「お姉ちゃん!そんなことないよ!何もやらかしてないよ!…何もやらかしてない…けどね?…」
「けど、何よ?」
「…恥ずかしいけど、聞いてくれる?」
「恥ずかしいも何も、私と博孝は、私があなたのオネショパンツを洗ってあげた仲じゃないの!!」
博孝は盛大に吹き出した。
「お姉ちゃん!そのことをまだネタにするの?!」
「ネタだなんて、あの頃の博孝は、あどけなくて可愛かったなぁ、って。今じゃあ、すっかりふてぶてしくなったけど」
私はニヤニヤしながらそう言った。電話の向こうで、博孝が頭を抱えてるのが想像できる。
「ま、それはさておき…電話じゃ伝えにくいことだから、今からお姉ちゃんの家に行っていい?」
「あらぁ?私の家に来たら、博孝と私が浮気してるって、美佐さんが誤解するんじゃない?」
私はイタズラそうに言った。きっと博孝の頭痛は、ますます酷くなっているだろう。
「お姉ちゃん、悪い冗談はよせよ。美佐は、僕とお姉ちゃんの関係性を知ってるんだから…」
「さ~?男女の仲なんて、いつどうなるか、分からないもんねぇ~♪」
博孝の頭痛は、ロキソニンやボルタレンでも効かないレベルになってるだろう。
「それで、今からお姉ちゃんの家に行っていいの?」
「うん、いいわよ。両親は出かけてるから、何もおもてなし出来ないけど?」
「おもてなしはいいよ。で、おじさんやおばさんは留守なの?そのほうが助かるや!じゃあ10分後に!!」
博孝からの電話は切れた。両親が留守のほうが助かる?何か引っかかるものがあったけど、
「まさかね!…」
と、気にしないことにした。
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