硝子 (ガラス) の恋 (Page 2)
私はすぐに大きなバスタオルを手渡すと、彼は濡れた髪を包み込むように雫を拭き取った。
私は別なタオルを手に取り、彼の背中やシャツなどを軽く拭いた。
ふと、その白さに吸い込まれるように、額を寄せていた。
「どうしたの?」
彼は穏やかに尋ねると、私の顔を覗き込む。
分かっていたのかもしれない。
本当にタオルを借りにきただけなら、手渡して再びタクシーに乗り込めば良いのだ。
だけどこうして、彼は車を降りてしまった。
私は柔軟剤などではない、彼そのものの香りを嗅ぎながら、囁くように呟いた。
「したい、です」
ほぼ暗闇に近い薄暗い照明の中で、彼の顔が浮かび上がる。
私はいつも自分が寝ているベッドの上に、彼がいることがにわかには信じられなかった。
彼はそっと私に覆いかぶさると、触れるだけのキスをする。
私は、誰ともしたことがないのに、全く緊張しなかった。
それどころか、こうなることが当然の結果のようにさえ思えた。
次第に彼は深いキスを繰り返し、優しく舌を絡める。
呼吸をする時にだけ離れる唇から、互いが息を吸う音だけが聞こえた。
彼は慣れた手つきで私の服を脱がせると、右の乳房を愛撫しながら、もう片方の乳房を口に含んだ。
少し歯を立てられたけれど痛みはなく、私は全身にそっと鳥肌が立った。
自慰以外で誰も触れたことのない下腹部に手が伸びてきた時は、さすがに戸惑いを隠しきれなかった。
するりと侵入してきた彼の手をふいに取ってしまうと、「嫌かい?」と聞かれた。
「嫌じゃないです。ただ、私、したことなくて…」
自分から誘っておいて、まさか処女だとは思わなかったのだろう。
彼は一瞬意外そうに目を見開いたものの、すぐにいつもの表情に戻って、「耐えられないと思ったら、すぐに言って」と耳元で囁いた。
私が頷くと同時に、彼のしなやかな指が既に溢れそうなほど濡れているものに触れた。
その瞬間、彼がいつもフルートを奏でる時の指遣いが思い起こされ、恥ずかしさがこみ上げてきた。
さっきまで緊張していなかったというのに、彼がふいに指でそこを広げた瞬間、私は首を横に振っていた。
「見ないでください…」
彼は何も答えずに、膨れ上がった最も敏感な部分に口付けると、中を優しく吸い上げた。
「いや、です…」
それは拒否ではなく、抗いがたい快感から出た言葉だった。
彼は十分理解しているといった風に、指と舌でどこまでも私の奥まで入ろうとした。
自分の中に行き止まりなんてないのではないかと思うほど、彼が指を激しく動かす。
卑猥な音も相まって、私は自分の口を押さえながら、声を出さないように必死で耐えた。
その後、彼がスラックスのジッパーを下げる音が聞こえた。
私が目を強く閉じていると、彼が腰を引き寄せて、「力を抜いて」と小さな声で囁く。
下腹部に、これまで経験したことがないほどの圧迫感を感じた。
痛みの中にも彼を受け入れてしまうと、彼は普段の穏やかさを取り払ったかのように、激しく腰を動かした。
彼に貫かれる瞬間も、離れていく瞬間も、まるで自分が何か別な生き物になったかのように、強く締め上げていることが分かる。
絶頂に達するのが早い私は、何度も頭の中が真っ白になった。
彼はそんな私に気づいているのかいないのか、両足をさらに大きく広げさせ、海の波のように寄せては引くように侵入を繰り返す。
身体が硬いせいか、広げたままの脚が痛む。しかし、それよりも繋がっている快感が勝っていた。
彼もようやく絶頂にたどり着き、一瞬くぐもった声を出した後、弾くように私の中を高く突き上げた。
美しい文章でした
匿名 さん 2020年4月26日