硝子 (ガラス) の恋 (Page 3)
二人で荒い息を吐きながら、ベッドに横たわっていた。
「辛くないかい?」
彼は私の髪に触れるようなキスをしながら、そっと身体を抱き寄せた。
私は「大丈夫です」と呟くと、徐々にまどろみに包まれ、そのまま寝入ってしまった。
それから私たちは、いつも通りの生活を送った。
大学で会えば挨拶を交わすし、フルートの練習だって見てもらう。
しかし以前と明らかに変わったことは、時折視線が絡み合った時に互いの熱が伝わることだった。
そのあとはどちらからともなく求め合い、身体を繋ぎあった。
私は、ガラス一枚を隔てたように距離を置いていた彼が、だんだん自分のものになっていくような気持ちになっていた。
「先生、好き」
彼の上に跨って腰を振っている時、私は何度でもそう言った。
でも、彼からそれに対する答えが返ってきたことはない。
言葉の代わりに彼は私の腰をぎゅっと掴むと、何も言葉を発せなくなるほど強く揺さぶった。
「激しくしないで…」
やっとそれだけを伝えると、彼は余裕の笑みを浮かべて、「じゃあ、やめてもいいのかな?」と微笑む。
私は首を横に振ると、「やめないで…。もっと、欲しいです…」と返すのがやっとだった。
彼は「お利口だね」と囁くと、私が気絶するまで深く子宮を貫いた。
恋人ではないのに、そんな関係が大学を卒業するまで続いた。
ある日、いつものように絶頂の後の呼吸を整えていると、彼が私の髪を梳きながら、唐突に卒業後の進路はどうするのかと訊ねた。
私は「どんな形であれ、ずっと音楽に携われるような仕事がしたい」とだけ答えた。
彼は頷くと、「卒業したら、一緒に暮らそうか」と思いがけない提案をした。
私は胸がいっぱいになって飛び起きると、嬉しさで彼に何度も口付けた。
そのまま私はソリストとして、何とか楽団に入団することができた。
彼は今までに見たことがないほどの笑顔で、「おめでとう」と何度も頭を撫でてくれた。
美しい文章でした
匿名 さん 2020年4月26日