完璧な元カノとアダルトグッズで遊んでみた
飯田高貴(いいだこうき)は、特殊な繊維使ったアダルトグッズを、元恋人でアダルトグッズ通販大手の社長である有村かれんは売り込んでいた。それぞれに一歩踏み込めずに別れたが、お互いに相手を忘れられずにいた2人は、高貴の道具を使って互いの恥部に触れ、胸を高まらせた。かれんが激しく悶える姿を見た高貴は、過去にできなかった一歩を踏み出した。
目の前のローテーブルに置かれた薄い布の一部が、不意に盛り上がった。
布を突っ張るように生まれた肌色の棒は人の指のようにも見えるが、表面が僅かに濡れていて少し卑猥だ。
「こ、これ、どうなってるんですか?」
僅かに怯えたような声で、正面のソファに座る有村かれんが訊いてくる。
春らしい薄ピンク色のスーツに身を固めた彼女は、少し幼げな表情を僅かに曇らせてテーブルの上の布から生えてきた棒を見つめていた。
切れ長の大きな目に長い睫毛が印象的で、少し勝ち気な印象を与えるが、低めの少し丸い鼻がその印象を打ち消している、素晴らしいバランスの持ち主だ。
そんな彼女は、某大手ネットショップサイトを運営する企業の社長兼バイヤーで、いかにもキャリアウーマンといった完璧な女性だった。
ここはその社長室兼応接室だ。
俺はそこで、彼女に商品を売り込んでいた。
「企業機密とさせて下さい。もちろん、人体に有害なものは一切使っていません。極端な話、調理すれば食べられる材料です」
「いや、食べる気はないですけど」
「はは、冗談ですよ」
俺は商談用の笑顔を作って、右手に着けていた薄い手袋を脱いだ。
途端に、棒が短くなってただの布に戻る。
かれんはその小さな布をサッと手に取り、裏表をシゲシゲと眺めた。
「ちょっと濡れてるのは?」
「肌を傷つけないために分泌させています。舐めても大丈夫ですよ」
「だから、なんで口に入れる前提なんですか?」
「安全性の説明ですよ。きっとそういう人も出てくるでしょうし」
「……まあ、そうですけど」
かれんは少し語尾を濁しつつ布をテーブルに起き、その隣に並ぶ2つの下着のうちの1つを手に取った。
俗に言う紐パンだが、股布が少し大きめになっているのでいやらしさは感じない。
もう一方は、男性用のボクサーパンツだ。
「これらにも、この布が?」
「はい。ご依頼の試作品です。お手に取っているのは、人工指3本を設置したモデルですので、少しデザインが犠牲になっています。1本分のものであれば、デザインを犠牲にせず、かつ価格も抑えられるでしょう。男性用は指5本分設置したもので、こちらもエントリーモデルとして3本分のものも準備する予定です」
「そう、ですか」
紐パンを眺めながら呟いたかれんの喉が、ゴクリと動いた。
良い感触だ。
俺は技術者の自信を胸に口を開いた。
「お試しになりますか?」
「え?」
俺の言葉に、かれんの頬が僅かに紅潮したような気がした。
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