完璧な元カノとアダルトグッズで遊んでみた (Page 2)

「ん、んん」

 椅子の肘掛けを撫でるように指を動かした途端、声が漏れそうになった。

 かれんはぐっと唇を噛んでその声を抑える。

 手袋に包まれた指先に、柔らかな肉襞まで感じる。まるで自分でイジっている時と同じだ。

 ハッとした彼女は、向かい側のソファに座る男の様子を窺う。

 流石に紐パン姿ではなく下着を交換しただけだが、それでも彼の前で自分でイジってヨガったことに違いはない。

「自分でも驚くでしょ?」

 そう言った飯田高貴の目は、極めてビジネスライクだ。

 かれんの胸の奥が、チクリと痛む。

 すぐ目の前で元カノが悦声を漏らしても、こんな冷めた目のままだなんて信じられない。

 かれんは、心の中で大きな溜め息を吐いた。

 自信満々の彼が訪ねてきた時に感じた僅かな期待が霧散し、「そもそもこんなだから、お互い独りになったんだよ」と諦めの気持ちが戻ってくる。

 あの時の彼もかれんに興味を示してくれなかったのだと改めて思い出して、心がぎゅっと苦しくなった。

 そんな不能男がこんなものを作った意図は分からないが、わざわざ元カノへ話を持ってきたのは、たまたま便利なコネだったというだけだろう。この手の商品を捌ける企業は、そう多くない。

 そこまで考えたかれんは、「期待した自分がバカだった」と自嘲する。

 ここはビジネスと割り切るべきだ。

「そうね。でもほら、これなら自分で直接触った方がーー」

「ではこれは?」

「んんっ、んあっ!」

 彼が声をあげた瞬間、不意に膨らんだ股布がかれんの敏感な柔肉を撫で、彼女の全身にゾクゾクとした刺激が駆け巡った。

 気が付くと、彼の手にはさっきまでなかった手袋が着けられ、中指がもぞもぞと動いている。

 かれんは咄嗟に口許を押さえたが、さっきは抑えられた嬌声を抑えられず、甘い響きが応接室に響く。

 太腿をぎゅっと閉じて耐えようとしても、熱い吐息が漏れる音を防ぐことができない。

 彼の指が撫でているのだと考えるだけで、お腹の奥が反応する。

「ん、ん、んふう、ふう。ちょ、ちょっとやめて下さいっ! ……せ、セクハラですよ」

「……失礼しました。そういうつもりでは、ありません」

 僅かに目を伏せて答えた彼の事務的な台詞に、かれんはカチンときた。

 元カノの痴態をじっくりと見ておいて「そんなつもりはない」なんて、バカにするにも程がある。

 こうなったら……。

「では、男性用も試したいのですが、よろしいですか?」

「え?」

「もちろん、私が身に付けるわけではありませんよ」

「あ、しかし……」

 動揺を見せた高貴に、かれんは少し胸がすく思いがした。

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