彼氏ですから (Page 6)

 体が性器から快楽によって溶け、お互いの境界線が曖昧になるような高揚感に包まれていく。二人はがむしゃらにお互いを求め、肌を触れ合わせる。

 美織は絶頂の高波が引く気配がなく、短い間隔で繰り返し和史の肉杭に刺し貫かれて達していた。
 結合部からは淫水が音を立てて弾け、肉のぶつかり合う音が室内に満ち満ちていく。発情した雄と雌の匂いも充満し、二人の意識だけでなく場所まで性愛に染まっていくかのようだ。

 性悦の波に揉まれ、和史の腰の動きが速まっている。美織もそれに応えて腰を蠢かす。
 淫猥な肉音が高まり、ついに和史も限界が近づいてい来る。

「美織さん、出したいです、出させてくださいっ」
 健気に許可を求める和史の腰に足を巻き付け、美織が囁く。
「一番奥にいっぱい出しちゃえ」

 言われた瞬間に脳を直に舌先で舐められたかのような、淫猥な響きに和史の理性がぐらりと揺れる。気付いた時には子宮口に鈴口で口付けて、たっぷりと射精していた。濃厚な精液をたっぷりと女の胎の内へと吐き出す快感に和史の腰が震える。

「すご、いっぱい出てる」
 恍惚とした顔と声で言って、美織は和史に抱きついた。
 
 それからしばらく、二人は抱き合ったままの体勢で過ごした。行為の後の気怠さに身を委ねて、心地良い体温に微睡むようにして休息する。

「……中に出しちゃったね」
 美織にからかうように言われ、和樹はベッドの上で居住まいを正した。
「責任取ります」

 言われた美織はきょとんとしていたが、数回瞬きをして大笑いする。
「いや、ダイジョブだって! 今日は安全日だし」
「でも……」
「あはは、ウケる」
「ウケないです。大切なことですよ」

「……じゃあさぁ、うちに来る? カレシだって紹介させてよ」
「いいんですか、僕で」
「当り前じゃん」

 今度は美織が、でも、と言いよどむ。
「わたし、親と仲良くないからさ、和史も嫌な思いするかもよ」
「大丈夫です。その、僕は」

 少し和史は迷う。
 だが、口にした。
「僕は美織さんの彼氏ですから」
 それを聞いて彼の恋人は――美織は嬉しそうに、けれど照れくさそうに笑った。

(了)

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