ママ活相手が義母になった話

・作

父親と二人暮らしの大介はママ活相手の恵と、デートをするだけでなく身体の関係も持っていた。大介は恵と過ごす時間を楽しく感じていたが、ある日「今日で終わり」だと告げられる。何故かと聞けば結婚相手ができたからだという。煮え切らない思いを持ちながらも了承した大介は、二週間後に父親から再婚相手を紹介される。その相手は、なんとあの恵だった――……。

「あ~恵さん、イク、イクよっ……うっ」

一回りほど年齢が離れているであろう女性の腰を掴み、後背位から達した青年は数度腰を突き上げ、気持ちよく射精した陰茎を抜いた。
ビクビクと全身を震わせてベッドに伏せた女性は満足そうに息を吐き、ゆっくりと上体を起こす。

「大介君、今日もありがとう……」

「こちらこそ。恵さん抱き心地いいから、何度呼び出されても嫌にならないよ」

「お世辞が上手ねえ。でも、今日でこの関係を終わりにしようと思ってるの」

「え、マジ?」

終わりにされる理由が、大介にはわからなかった。
今ではこうしてセフレ同然にはなっているものの、恵と大介は元はSNSで知り合った健全なママ活関係だった。
お互い程よい距離感で遊び、金銭の受け渡しも互いに不満が出ない範囲であり、それがある時一線を越えてからはこうしてセックスもするようになった。
月に数度会い、楽しく遊ぶ関係で、身体の相性も抜群。恵も大介も恋人はいない。何の支障もなかったはずだ。

「何、どっか転勤になるとか?」

着替えつつ大介が訊ねると、恵も着替えながら首を振る。

「いいえ。結婚相手が決まりそうなの」

「マジ?恵さんそんな相手いたの?」

「前々からちょっとイイ感じの人がいたのよ。早くに奥さんを亡くした人でね、けっこう大きいお子さんもいるらしいけど、うちに来てくれないかっていう話になって……」

「……へえ~」

思わず、返事が遅れる。
自分の中で思っていたより恵の存在が大きくなっていたなんて、大介には認められないことだった。

「まあよかったじゃん。どうぞお幸せに」

可愛げもなくぶっきらぼうに伝えると、恵は困ったように微笑みながら言う。

「ありがとう。私がいうのもなんだけど、大介君も早くこういうことやめなさいね」

「気が向いたらやめるよ」

金銭の受け渡しも終わり、最後のキスを軽く交わしてから二人は別々にホテルを出た。
もう二度と会うことはないだろうな、と大介は帰路の道中、恵の連絡先を消した。

 

それから二週間後。

「こちらが父さんの、その……恋人、というか、もう一度結婚したい人、畑中恵さんだ」

大介は、父に紹介したい人がいると言われ、少し高級な料理店に来ていた。
そこで顔を合わせたのは、二週間前にママ活相手として別れた恵だった。

「こんにちは、大介……さん?」
「そんな、これから息子になるんだから呼び捨てでかまわんよ。なあ、大介?」

恵はさも初めてあったかのような態度を崩さない。
父は酒を飲み、とても上機嫌なようだ。
大介はどういう顔をしていいかわからず、苦笑してその場をやり過ごす。
恵の顔を見ないまま、顔合わせの食事会は進んでいく。父はひたすら上機嫌に恵との出会い、魅力を語り、やがて酔いつぶれた。
タクシーに乗り、恵と父と共に帰宅した大介は、自室に戻っていた。

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