息子のいぬ間に (Page 3)

葵と颯太は大学時代の同級生で、それぞれに就職して2年目で結婚した。
気も合うし、身体も合った。

早くに結婚して落ち着いてキャリア形成をしたいと2人とも考えていたので、その点でも意見が合致して早めの結婚となった。

互いに望んで早めの結婚・出産となったことから子育ても限りなくフラットに分担しており、不安も負担も按分できたことでこれまで互いの両親に泣きついて助けてもらったことはほとんどなかった。
だから2人きりの時間は本当に久しぶりなのだ。

「コーヒーでも淹れようか」

静かな部屋で葵の声は普段と違うトーンに聞こえる。
ほっとした安心感と、日常にはない余裕感のようだ。
キッチンに向かい、電気ケトルに水を入れる葵の腰に颯太は後ろから腕を回した。

「っ…もう、そんなすぐ…」

時刻はまだ午前10時だ。
葵とて今日は颯太とセックスしたいと思っている。

颯太もやはりそうだったのかと嬉しい気持ちはあるが、息子と義父母がここを出てからまだほんの5分、さすがに少し落ち着こうと颯太の手に自分の手を重ねた。

「だって…昨日から俺もう…我慢できないんだって」

颯太の手は腰から上へのぼり、葵が着ているTシャツの上からゆっくり乳房を揉みしだいた。

「んんっ」

葵も久しぶりの性的接触に、甘い声を漏らしてしまう。

「最近全然してなかったじゃん…まぁ、忙しかったんだけど」

耳元で囁く颯太の声がざわざわと葵の性感を高める。

「それで昨日寝る時さ、明日は2人だけでずっと過ごせるんだって思ったらさ…もうたまんなくて」

服の上からふにふにと乳房を揉みながら、耳に息を吹きかけるようにしてぼそぼそ喋ると、後ろからでも葵の頬が紅く染まっていることがわかる。
颯太は興奮が抑えきれず、葵のTシャツの裾から手を入れた。

「あっ…もぅ…んんっ」

諌めるような調子だが、葵の方も颯太に触れられたことで堪えていたものが溢れ出している。
葵はTシャツの中に入ってきた颯太の手を取り、くるりと颯太の方に向き直った。

「せめて、ベッドいこ?」

甘えるように言って、ちゅっと葵の方からキスをすると、颯太の目がギラついた。

「うん」

颯太は答えて、葵の腰を一層強く抱き、葵に深く口付けた。

「ん…」

唇の間から舌を差し入れて、少し激しく口内をかき回すと、葵は息を荒げながらも颯太に応えた。
くちゅくちゅと音を立ててキスをしながら、2人は服の上から互いの身体をまさぐった。
堪えきれない情欲が、互いの身体から溢れ出てきているようだった。

「はぁ…んぅ…あ、ひぁっ」

キスですっかり力が抜けてしまった葵の身体を横抱きにひらっと抱えると、そのまま颯太はいそいそと寝室に向かった。

「葵、痩せた?」

こんな風に妻を抱えるのも久しぶりのことだが、仕事と育児で疲れ通しのためか、軽くなったように感じる。
結婚した頃と比べるとやつれたようにも見える顔は、どことなく色っぽい。

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