乙女は兄のために処女を捧げる (Page 4)
「お前がこれからすることはさ、別に悪いことじゃねえんだよ。そうしなければ兄貴が破滅するんだからよ。本当にご立派な自己犠牲ってやつさ。つうか、もしお前がここまでしてくれるって知ったら兄貴は驚くと思うぜ、ここまでやってくれる凄い妹だってな」
心に毒を流し込むとはまさにかくやと言わんばかりに、真沙貴は畳み掛けるようにそう言った。
充姫は心の中に燃えたぎる怒りを覚えていたが、その一方で諦観とも言える気持ちが広がっているのを感じていた。
選択肢はなかった。
目をつぶって兄に謝罪をすると、心を決めた。
「分かりました。貴方の言うとおりにするわ。それでいいんでしょう?」
「分かった、親父に今から電話するからちょっと待て」
そう言ってから、真沙貴はスマホを取り出すと電話をかけ始めた。
どうやら本当に父親に掛け合っているらしい。
五分ほど話をしてから、すぐに充姫に向き直った。
「親父と話をするかい?」
充姫はこくんと頷く。
「やあ、充姫くんじゃないか、久しいな。お兄さんのことは私に任せておきなさい」
「すみません、ありがとうございます」
「いやいや、じゃあ、うちの馬鹿息子とよろしくな」
そう言って電話は切れた。
思いのほかとんとん拍子に事が運んだことに、充姫は驚きを隠せなかった。
「これで安心したかい?」
「ええ……。ところで、ここから私が逃げるということは考えないのかしら?」
「そうだな……。それも考えなくはなかったけど、ま、無理だろ? さっきの親父の言葉を聞いて分からないお前じゃねえだろうし」
自らの言葉に曖昧な笑みを浮かべた充姫を、真沙貴は満足げに眺めやると座敷の奥の襖を開けた。そこには一組の布団が敷いてある。
「じゃあ、充姫、中にはいんな」
「準備万端なのね……」
呆れたように充姫はそうぼやく。
しかし、もはや後の祭だった。屈辱に打ち震えながら真沙貴を睨み付ける。
「そんな目をするなよ、せっかくだから楽しもうぜ。さ、どうする? 脱がしてやろうか、それとも脱ぐかい?」
愉悦に満ちた真沙貴の声に、充姫は冷たい一瞥を投げかけた後、無言で制服のリボンを取ると、スカートの裾から引っ繰り返して勢いよく脱ぎ捨てた。
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