落花 (Page 8)
「出せ。許す」
陰茎を緊縛していた下帯を解き、カヤが腰を上げる。すると男は腰を突き上げ、一気に射精した。すぐには止まらず放尿するかのような勢いと量を吐精した。一部はカヤの体にもかかる。強烈な粘度でゆっくりと、精液はカヤの内腿を垂れさがっていく。
カヤは男の髪を掴んで持ち上げ、告げる。
「これからは私の許可なく射精するな」
「…………は、い」
男の頭を投げ捨て、カヤは男の上から退いた。
この男はまともな性交はできないだろう。これ以上に強烈な射精体験は、そうそうできない。それに被虐趣味者としての素養もあるようなので、これからはカヤの元に通うようになる。
その度に高額な金銭をカヤの母親に支払い、ヤクザ者に目を付けられ、いずれは破滅するだろう。
気絶している男を見下ろしたカヤの顔に初めて表情らしいものが浮かぶ。
笑みだ。
暗い深みに落ちるような、そんな笑み。
少しずつ、少しずつ破滅していく。
その予感にカヤは笑う。
心の底から、この世の中で一番嫌悪するモノが破滅する予感に笑っているのだ。
人間という生き物が何よりも嫌いなカヤにとって、人間である自分もまた嫌悪の対象だった。
だから、彼女は関わる者達を全て破滅させる。
咲き誇る花から花弁を毟り取り、手折るように。
自らもいずれ滅びる時を、暗い淵へと落ちながら共に待ち侘びて。
(了)
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