聖姦士(セイント・レイパー)シンジ (Page 3)
妖精が言うにはこういうことらしい。『さえ』は、異世界の国の姫で、他国の侵略から逃げるためにこの世界に来たらしい。しかし、敵国も『さえ』を追ってこちらの世界に追っ手を送り込んできて、昼間『さえ』と談笑していた大学生風の男も、実は『さえ』の追っ手だそうだ。
で、僕が『聖姦士(セイント・レイパー)』と呼ばれた訳だが、『さえ』のいる世界では女性が国や軍隊を支配しており、その姫や大将をレイプすると、その国や軍隊は壊滅するらしい。だが、誰がレイプしてもよいというものではなく、『強姦力(レイプ・パワー)』が強い者が犯さなければ、返り討ちにあってしまうそうだ。そして、その『強姦力』が強い者の中でも、特に異世界から選ばれた者が『聖姦士』と呼ばれるらしい。そして、『聖姦士』であるこの僕には、聖なる『強姦力』を使って、黒幕である敵国の姫を犯し、『さえ』を助けてほしいそうだ。
「ここまでの話は分かった。でも、僕はこんなにひ弱なんだよ?女性を犯すことはできたとしても、追っ手の男たちはどうするんだよ?相手にしたら、僕はボッコボコにやられてしまうぜ?」
僕は心配そうに訊いた。
「ご安心ください、聖姦士!こちらの世界では弱くとも、私たちの世界に行けば、強姦力が強い者は、腕力や戦闘力も強くなるのです!」
妖精は、「任せとけ!」という感じで、ドンと胸を叩いた。
「それで、どうやったら僕は君たちの世界に行けるんだい?」
「わたしたち妖精は、わたしたちの世界と異世界とを結んで、行き来する力があるんです。わたしに着いてきてくだされば大丈夫です!さあ!サエ姫も!」
『さえ』はいつの間にかレースのシースルードレスを着ており、気品のある姿で立っていた。
「アリア、よろしくお願いします。どうぞ聖姦士も着いてきてください」
どうやら僕に色々と説明してくれた妖精は、アリアという名前のようだ。それはさておき、僕は成り行きに任せ、『さえ』たちの住む異世界に行くことにした。
第四章 シンジ、発つ
「ようこそ聖姦士シンジ」
僕の前に跪いた、白い髭を伸ばした大臣が、仰々しく僕に挨拶をする。
「アリアから、シンジ様がサエ姫やこのトッグ国を守ってくださると聞いております」
「お、おぉ…」
僕は自信なさげに頷いた。
「僕は武術もしてないし、武器も使えません。それでも戦えるのでしょうか?」
「それはご安心ください、聖姦士。そもそも、聖姦士はこの世界に召還された時点で、戦闘力がございます。それに、この世界の武器も、鞭ぐらいでございます」
そう言うと、大臣は家来に少し古びた銀鼠色の鞭を持ってこさせた。
「これはこの国に伝わる、聖姦士が代々使う鞭です」
見た感じは、何の変哲もない鞭だ。僕は手に取って、一振りしてみた。ピュッ!という鋭い音が鳴った。
「なかなか振り心地は良さそうだね?」
「はい。聖姦士が使う物ですから」
僕はそれ以上の答えを期待していたが、そういうものは特になさそうで、単に由緒正しい鞭、というだけのようだ。僕はその鞭を、もう一振り、二振りしてみた。
と、そのとき、
「大臣!大変です!西のほうから敵の侵入です!」
「なに!予想よりも早い進行だな!聖姦士、申し訳ない!早速だが、出陣していただけるか!」
心の準備も何もないまま、僕は戦に出ることになってしまった。
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