聖姦士(セイント・レイパー)シンジ (Page 2)

第二章 心に浮かんだ悪意

 ある土曜日のお昼。僕はペヤングを買いに、いつものコンビニに向かった。この時間帯、『さえ』はシフトに入っていないことは知っているのだが、他の店に買い物に行くのは面倒臭いのだ。

 今度こそはPayPayの残高不足という恥もかくことなくコンビニを出た。アパートに向けてしばらく歩いていると、大学生だろうか?若い男女が道端で談笑しているのを見かけた。

 男のほうは…誰か知らない。女の子のほうは…『さえ』だ!『にしやま さえ』だ!僕はペヤングの入った買い物袋を持ったまま、一瞬呆然と立ち尽くした。あの『さえ』に、彼氏がいるのだろうか?…

 しかし、少し冷静になって考えれば、美しいうら若き女子大生に、彼氏がいたって不思議ではないのだ。僕のような、陰気で冴えないヤツに、彼女がいないのと同じぐらい自然な出来事なのだ。

 だが、僕の気持ちは暗くなった。僕の『さえ』が、他の男に抱かれているのか…。そして、あのかわいい胸を揉まれ、蜜壺には…

 僕はそのイヤな想像をかき消すべく、頭を左右に激しく振った。それでも暗い気持ちは消えなかった。そして、その暗い気持ちは、僕を悪い行為へと走らせようとしていた。

 

 そうだ、『さえ』を犯そう…

 

第三章 聖姦士

 その夜、僕は変な夢を見た。夢の中で僕は早速『さえ』を犯そうとしていた。イヤイヤをする『さえ』に僕の赤黒く勃起した肉棒を突き入れようとしたとき、僕の目の前に小さな人間?がヒラヒラと飛んできた。

「変なことはおよしなさい!」

 僕は一瞬「?」となって、挿入しようとしていた動作が止まった。

「信次!聖姦士(セイント・レイパー)椎名信次!あなたの聖なる犯す力は、こういう場面で使うものではありません!!」

「はぁっ?!」

 僕に訳の分からない説教をしている小さな人間?には、トンボのような羽が生えており、空を飛べるようだ。そう、妖精と言ったほうがいいだろうか?

「聖姦士!あなたの聖なる強姦力(レイプ・パワー)は、『さえ』さんではなく、『さえ』さんを狙っている男たちの黒幕に対してこそ発揮されるべきです!!」

「何を訳の分からないことを言ってるんだよ!コラ!『さえ』とやらせろ!!」

「ダメったら、ダメーーーーッ!!」

 妖精は、僕の額をポコポコと叩いた。

「イタタタ!何するんだよ!」

 そのとき、妖精と目が合った。その目は、涙で潤んでいた。僕は『さえ』を押さえつけていた腕を離すと、妖精の話を聞くことにした。

「いったいどういうことなんだよ?詳しく説明してくれ」

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