甘々な耳掃除 (Page 6)

「ん、んふぁ、ふはあ、はあ。ふう、ふう……。も、もう、いやあ」

「え?」

 突然泣き始めた夏美に、俺は慌てて身体を離そうとしたが、彼女の腕と脚ががっちりとホールドしていたので、顔を上げただけだ。

 彼女は涎と涙でぐしゃぐしゃな顔を向け、俺に睨み付けている。

「な、なんで耳掃除で、こうなるのお」

「あ、いや……。ごめん」

 俺は何の言い訳もできず、ただ謝るしかなかった。

 やり過ぎたらしい。

*****

「お・い・で」

 ソファで俺の隣に座っている夏美が、剥き出しの太腿をポンポンと叩きながら楽しげに言った。

 俺は魅力的な生脚に気付いていないふりをして、テレビの画面を見つめる。

「ねえねえ。そろそろ溜まってるでしょ? スッキリさせたげるよ」

 夏美は俺の腕に抱き付くようにして耳元に口を寄せ、艶の載った声音で囁く。

 俺はゴクリとつばを飲み込んで、ちらりと彼女の顔を見た。

 それに気が付いた夏美が右手に持った小さな棒をチラチラと振り、端に付いたふわふわを俺の目の前でチラつかせる。

「耳掃除、さ・せ・て」

 彼女は俺の身体に縋り付くように抱き付き、太腿を跨ぐようにして座り込んだ。

 彼女は耳掃除が好きだ。

 初めて耳掃除してもらった時に、すこぶる気に入ってしまったらしい。

 もう、耳掃除したくて仕方がない、といった様子だ。

「耳掃除だけ、だよね?」

「ん?」

 鼻先が触れるほど近づいた小首を傾げ、「意味が分からない」と言いたげに口元を綻ばせる。

 ショートボブにした彼女の茶色い髪が、サラサラと揺れる。

 長い睫毛に彩られた茶色い瞳も、ヌラヌラと揺れてる。

 低い鼻の下の薄ピンクの唇の隙間から、紅い舌が蠢くのが見えて、どきりと胸が跳ねた。

 太腿に感じる湿った熱が、彼女の気持ちを代弁しているようだ。

 膝まで届く俺のトレーナーだけを羽織っている彼女の小さな身体が、ぷるりと震えた。

 真っ白い彼女の太腿は少し赤らみ、僅かに汗ばんでいる。

 彼女の熱の篭もった瞳が俺を見つめ、小首を傾げる姿が愛おしい。

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