筆下ろしは幼馴染み?! (Page 2)
ピンポーン!
「お姉ちゃん、突然ごめんね!」
「うぅん。暇してたから良かったわよ」
「おじゃましまーす!」
高校までは、博孝と家でよく遊んでたけど、私が大学に入って以降は、ほとんど遊んでなかったわ。少し大人びた博孝の横顔を見て、私はドキッとしてしまった。博孝のほうはと言うと…何やら様子がおかしい。勢いよく家に入ってきた割には、ずっとモジモジしている。
「まあ、座りなさいよ」
お互いソファーに腰を下ろした。
「いったいどうしたのよ?ずっとモジモジして?」
「お姉ちゃん、変なこと訊くけど…処女じゃないよね?」
私は盛大にコーヒーを吹き出した。そして、顔を真っ赤にして、
「バカッ!博孝!あんた、何てこと質問するのよ!?」
「ご、ご、ご、ごめん!でも、大切なことなんだよ!」
私は真っ赤になった顔を下に向けて、
「そうよ、処女じゃないわよ…」
と言った。すると、博孝は
「そうかぁ…そうだよね」
と、ため息をついた。続けて、
「お姉ちゃん、僕は…童貞なんだよ…」
「そりゃそうよね、今まで『恋人いない歴=年齢』だったんだから。あなたが風俗で童貞を捨ててたら、びっくりするわよ」
私は半ば呆れた感じで言った。
「でね?僕はやっと美佐っていう彼女ができて…でもね?美佐は処女じゃないんだよ」
「それで?」
「それでね?お姉ちゃんに頼みが…」
「バーッカじゃないの?あなた?!」
「お願い!一生のお願いだから!」
博孝は土下座した。
「何で私があなたの筆下ろしをしなきゃならないのよ!!!」
「無理を承知でお願いしてるんだ!頼む、お姉ちゃん!このままじゃあ、美佐にフラれちゃうよ!!」
「勝手にフラれろ!バーカ!!」
私は顔が赤黒くなるぐらい憤慨し、頬もフグのように膨れていた。
「…そうだよね?ごめん、お姉ちゃん、気分を悪くさせちゃったね?…」
博孝の目に、涙があふれてきた。博孝は、やろうとしていることはバカなのだが、何とか美佐とこれからも上手くやっていこうと、真剣なのだ。まあ、その、何だ、セックスの手ほどきの相手に私を選んだ博孝は大バカ野郎だけど、そんな真面目すぎる彼の性格を幼い頃から間近で見てきた私は、何だか無下に断るのも悪い気がしてきた。
「分かったわよ。私が筆下ろししてあげるわよ。で、美佐さんとの時は、恥をかかないようにしなさいよ」
「ありがとう!お姉ちゃん!!」
ここまで来たら、私もやけっぱちである。
「で、どうしたらいいの?」
博孝の間抜けな質問に、頭痛がしてきたのは私のほうだった。
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