義母のなぐさめ (Page 2)

百合は、賢太郎に優しく接してくれたし世話もきちんとしてくれたが、過剰に親しくしようとはしてこなかった。再婚相手の子供とうまくやろうと躍起になる人間は多いが、百合は思春期の賢太郎に配慮していつも適切に距離をとってくれる女性だった。

そういうところが賢太郎には好もしかったが、好もしい故に困ってもいた。
母親としてではなく、ひとりの女性として意識してしまう自分の罪悪感と戦い続けるのが苦しく、大学入学を機に家を出て一人暮らしを始めた。

 

シャワーの音が聞こえて、賢太郎がリビングで待ち始めてから40分程が経った。

「…少し遅いな…」

少なくとも賢太郎が家に着く前から義母は風呂場にいたはずだから、やや長い時間シャワーを浴び続けていることになる。
中で具合が悪くなったり、倒れたりしているのではないかと心配になった賢太郎は、リビングを出て風呂場に向かった。

「母さん?中にいる?」

脱衣所の前で声をかけてみたが、中からは変わらずシャワーの音だけが聞こえる。

 

百合は、当時から20代の若さに似合わぬ豊満な体をしていた。クラスの同級生の華奢な身体と比べるとそれは賢太郎に強烈に「女」を感じさせる肉感であり、自分の部屋では百合を思って何度もオナニーをした。

就職も地元で決めず、大学卒業後も一人暮らしを続けることにしたのは、いずれ自分の欲望が爆発してしまうのを恐れたからだった。
父と義母を裏切るくらいなら、少し疎遠な方がまだましだと考えたのだ。

しかし賢太郎が就職した1年目の秋に、父は急死した。父を失った喪失感を埋めるため賢太郎は仕事に没頭し、義母の百合とはますます疎遠になっていた。
百合が泣き暮らしていることは知っていたが、心配よりも自分の悲しみや後ろ暗い罪悪感に苛まれる感情の方が強かった。

 

「母さん?大丈夫?」

反応がないため、賢太郎は声をかけながら脱衣所のドアを開けた。洗濯機の隣の棚に畳んで置いてある百合が脱いだものであろう下着に一瞬目を奪われ、慌てて頭を振る。

「ううぅぅっ」

シャワーの水音の合間から、うめくような声が聞こえた。その声にはっとした賢太郎は、考えるより先に身体が動き、風呂場のドアを勢いよく開いた。

「母さん!大丈夫!?」

「っん、え?えっ…」

「あ…」

百合は倒れてはいなかった。
全身の肌を薄らと赤く上気させ、左手は自分の乳首をつまみ、右手でシャワーを持って股座に押さえつけていた。
義母が自分を慰めている最中に賢太郎は突入してしまったのだった。
先程の声は苦しくてうめいたのではなく、喘ぎ声だったということになる。

「いやっ…けっ、けん、たろうさんっ…」

混乱している様子の百合が、慌てて大きな声をあげる。

「っ…あの、ごめ…」

急いでドアを閉めた賢太郎は、ばくばくと鳴る心臓を押さえながら脱衣所を出た。
落ち着かなければと思う反面、脳裏に焼き付く百合の卑猥な裸体を思うと情欲がむらむらと湧き上がるのも感じていた。

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