捕食者 (Page 8)

「口を開いて」

 開かれた口の中に潜む舌。その舌を迎えに行くようにペニスを押しこめば不安からか栞の体は硬くなった。

「大丈夫、大丈夫」

 やさしく声をかけ、そのままペニスを推し進める。栞の口の中は熱く、逃げ場をなくした舌が縮こまっているのをペニスであやすように触れた。
ん、ん、と小さく声をくぐもらせ坂木を見る目が潤む。
そんな栞を見ている内に、また坂木のペニスは硬くなっていく。

「動かすぞ」
「ん~」

 声の調子からは反論したいのかどうなのかわからない。
だが聞く気はないのだというように、坂木は栞の口の中を蹂躙する。栞の頭を押さえうなじを指で愛撫すれば、喜んでいることがわかった。 
熱い栞の口に中でペニスを出し入れすれば、空気と混じったグポグポと音がした。
ああ、と呻き坂木は射精する。ビュ、と栞の喉奥に吐き出す精液を必死に飲み下そうとしている姿に坂木は飲まなくていいと声をかけたが、涙目のまま首を横に振る。

「ネバネバする・・・・・・」

口の中をパカリと開けて見せれば、白い液体がまとわりついている。
栞はそれを舐め取るように舌を動かし、コクリと飲み干した。

「飲んだのか」
「先生の、だから」

栞は照れくさそうに言いながら、口をモゴモゴと動かし舌を突き出す。そこに縮れ毛が一本くっついていた。
ふふ、と栞は笑いながら陰毛をティッシュで口から出して見つめる。

「口の中にここの毛がついたの初めて」

そう言ってゴミ箱に捨て、だらしなくぶら下がる坂木のペニスに口付ける。

「今日はもう出ない」

若くはないと申告するようなものだったが、栞は可愛いともう一度リップ音を鳴らし坂木のペニスに口付けた。

 

ドロドロになった下半身を濡らしたタオルで拭く。
生臭い特有の匂いを消すように窓を開ければ、風が入り込み、机の上で資料が動く。
パタパタという音の中、身支度を終えた栞は坂木を真っ直ぐ見つめていた。
先程までのあの痴態など感じさせない清々しい顔が眩しく見え、坂木が目を細めれば、栞の口角が上がる。
ツヤツヤとしているのは、リップのせいだったか。
先程まで自分の精液まみれだったのに、と坂木がその唇を凝視していると栞が口を開いた。

「今度は、中に下さいね」

 お腹をさするその仕草に、坂木は喉を鳴らす。

「私の中で先生をたくさん可愛がってあげるから、いっぱい出してね」

うっとりとその日を待ち望むような顔に、坂木は興奮よりも先に背筋に冷たいものが走る。
栞が学生だった時に見た、あの捕食者ような顔を思い出し、宣言通りに捕まえられてしまったのだとゆっくりと息を吐いた。

(了)

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