官能空想遊歩 (Page 2)
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「誰も来やしませんよ」
「でも……」
もじもじと恥ずかしがっている店長に対し、青年は酷薄な笑みを浮かべる。
「じゃあ、あの話はなかったことにしますよ」
「それは……!」
思わず店長は青年の手を掴む。
青年はそれをやんわりと解き、彼女のエプロンの下へと手を忍び込ませる。
「融資の件は俺が口を利く。店長は条件を飲んだ。違いますか? それとも、この古い喫茶店は潰して自由の身になりますか?」
「できません。この店は主人と、あっ」
熟れた乳房を青年の手が無遠慮に揉みしだく。シャツと下着に包まれた乳房が形を変えるような乱暴で、遠慮の欠片もない愛撫ともいえないその接触に彼女の体は反応してしまっている。
「大丈夫。あの世の旦那さんも許してくれますよ。だって、店長は薬のせいで欲情させられてるんですよ」
(無理やり。そうよ、無理やり……。私は仕方なく)
「んんぅっ」
指を噛み、店長は喘ぎ声を堪える。
その様子に青年は増々笑みを深くする。
「乳首、固くなってきましたね」
シャツの下で下着がずれ、露わになった乳首が勃起していた。それを青年は指先で執拗に甚振る。衣服越しの刺激だというのに性感が増していく。
このままでは――
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「お待たせしましたぁ」
はっと高坂は夢想から醒める。
彼の目の前にコーヒーとサンドイッチが並べられた。
それらをもそもそと口に運びながら、高坂はまともな食事は二日ぶりだなと思う。コンビニの弁当どころか、数か月はプロテインバーや栄養補助剤の類以外では水しか胃に入れていない。
調理をする時間が惜しいというのが主な理由だが、片付けの手間がないのが楽で、つい料理を食べる習慣がなくなっていた。
自分の舌がかなり鈍麻していることに新鮮な驚きを得つつ、高坂はゆっくりとサンドイッチを咀嚼する。
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