官能空想遊歩 (Page 7)

「やさしく、して」

 はっとした顔で彼は腰の動きを止める。それから慎重な動きでゆっくりと男根を蠢かした。

 その優し気な律動に先輩は言いようのない快楽を得てしまう。並みの男では触れることもできない性感帯を責められ、背筋を痺れさせながら脳へと快楽が登り詰めてくるのだ。

「そう、そうやって優しくして」

「はい」

 仕事を指導される時のように彼は従順に返事をした。

 そんな彼の首に先輩は腕を回し、慈しむような口付けをする。驚いている彼の頬を包み、もう一度口付けを交わす。

「先輩気持ちいいです」

「わたしも気持ち良い」

 ぬじゅぬじゅと水音が二人の間で鳴っている。

 先輩の女陰は赤くなって捲れ、しっかりと彼の男根を咥え込んでいた。いまやすっかり適応し、快楽を貪っている。

「ねえ、待って。足が疲れちゃった」

 先輩はそう言って彼から体を話した。ぐぽっと音を立て肉棒が蜜壺から抜ける。

「今度は、こっちから。ね?」

 壁に手を突き、先輩は尻を突き出す格好になって彼を誘う。

「犬みたいに後ろから犯して」

 言われるが早いか、彼は自らを誘う肉穴へと男根を突き入れた。

 容赦なく腰を打ち付け、尻肉を鷲掴みにして逃がさない。肉棒が動く度に淫蜜が足元に零れ、ぱたぱたと落ちていく。

「おぁっ、ひぃぃ、こわれるぅ、いいのぉ、そのまま」

「先輩、もう、もう」

「いいよ、出して、中で、いっぱい出してぇ」

 ぐいっと腰を突き出し、先輩は最奥まで彼のモノを受け入れた。誰も触れたことがない部分まで串刺しにされ、パチパチと視界で星が弾けて消える。ついで男根が一際膨張し、たっぷりと射精された。大量の精液が肉棒から発射され、膣内で逆流して流れ出る。

「ああ、こんな気持ち良い、射精初めてです」

 断続的に膣が蠢き、快楽の余韻でさらに男根を刺激する。射精の余韻に浸りながら、彼はゆっくりと肉棒を引き抜いた。すると大量の精子が零れ落ちていく。

 二人は絶頂の余韻に火照る体で――

*****

 盛大なクラクションに思考を寸断され、高坂は立ち止まった。

 気付けは駅前に辿り着いている。

 彼の前には赤に変わった歩行者用信号があった。クラクションを鳴らしたドライバーの怒りは正当なものだろう。

 話を作るのに夢中ですっかり前後不覚の状態に陥っていたらしい。

 ともあれ、今回はオフィスものでいこうと決められた。

 人物造形やストーリーを作り込まないと一本分にはならないが、とっかかりはできた。

 やれやれと高坂は安堵し、胸を撫で下ろす。

 今回の締め切りも何とかなりそうだ。

(了)

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