身も心も1つに (Page 3)
「あの、佐藤さん。ちょっと手伝って欲しくて」
戻ってきてすぐ、申し訳無さそうに眉を八の字にした美久が声をかけてきた。
「大丈夫ですか?ちょっと顔が赤いですよ」
「あ、はい、大丈夫です。それよりも、倉庫まで来てもらえませんか?」
俺は首を傾げながら、彼女の後ろについてオフィスを出た。
確か、棚卸しはもう終わったはずだ。
「棚卸しじゃなくて、在庫の問い合わせがあって……」
「え?あ、ああ、そうですか」
戸惑った声音にならないように気を付けて答え、俺は彼女から顔を逸らした。
俺は、昔から周りの人間に気を遣ってもらってばかりだ。
前の職場では、「何でも顔に出るから、営業には向いていない」とまで言われた。
きっと、今もまた出てしまったんだろう。
そうなると、今頭の中に響いているこの声も……。
『ん、んふう。佐藤さん、見てえ!』
匂い立つほどのリアルな声に、俺は思わず彼女の柳腰から尻にかけての柔らかな曲線に目をやってしまう。
少し屈んで鍵を差し込んでいる彼女は、濃い色のタイトスカートに収まる丸い尻を僅かに突き出していた。
俺の妄想の中では、この中の柔らかい秘肉を弄んでグチョグチョにした。
『あ、あ、あん、ふう、もっと、もっとお』
揺れるお尻に合わせて、悦声も揺れる。
「佐藤さん、どうしました?」
「あ、いえ。……先に入って灯りを点けますね」
「あ、すみません」
美久の声音に少し緊張を感じたのは、俺の視線に気が付いていたせいだろう。
俺は倉庫の灯りを点け、商品サンプルがおさめられた狭い倉庫に目を凝らした。
つい数日前にやった棚卸しのおかげで、棚も床も綺麗なものだ。
彼女との最後の仕事は、もう終わっている。
不意に灯りが消えた。
『佐藤さん……』
「え?」
真っ暗になった倉庫の中で、あの声が俺を呼ぶ。
「は、林田さん?」
「美久って呼んでください」
そんな答えと同時に俺の胸にふわふわのものが押し付けられ、唇に柔らかいものが触れる。
彼女の甘い匂いがふわりと俺を包み込んだ。
濡れた肉が、唇の隙間に捻り込まれる。
『隆さん、たかしさん!』
「ん、んふ、んんん」
いつも微笑んでいた美久の黒い瞳が、目の前で妖艶な光を湛えて揺れている。
彼女の細い腕が俺の首に回され、ぎゅっと身体が押し付けられた。
ブラウス越しに羽毛布団のように柔らかな乳肉が押し当てられ、固くなった乳芯のコリッとした感触が胸を突く。
ノーブラ?
「ぷふぁ。うん、外しちゃった。苦しくて」
彼女は唇を離すと、うっとりと微笑んだ。
心を読まれている?
俺は心臓の鼓動が激しくなるのを感じた。
でもこれは恐怖じゃない。
俺の妄想が現実になっていることへの戸惑いと期待、その興奮だ。
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