泣き虫な幼馴染みは処女なのにとっても積極的だった件 (Page 8)

「えへへ~。仲良しさんだねっ」
「……まあ、そうかもな。で、なんだよ話したいことって」

 オレの質問に、一瞬で勝子の雰囲気が変わる。
 どこか冷徹さすら感じさせるほどの表情だった。

「も~、せっかちなんだから。そうだね……、信子のことっていったら分かるかな?」
 
 やっぱりそのことか、そう思わざるを得なかった。
 明らかに、勝子は信子の行動を疑っていた。
 そしてうすうす気が付いているのだろう。
 だからこそ、オレは真っ向からとぼけることにした。

「信子のこと? なんのことだ?」
「も~、良いのに、黙ってなくても~。どうせ信子が口止めしてるんでしょ?」

 図星なだけに返す言葉がなかった。
 勝子は黙っているオレのことなど気にせずに言葉を続けた。

「まあ、信子だったら私たちのことを気にして、何もなかったってことにしたいよねぇ。ホントにゴメンねぇ、信子。私が正直で、気持ぢ、隠せないからあ……」

 それまでのちょっと怖いくらいの雰囲気は消え、勝子の声はいつもの泣き声だった。
 オレはあまりの落差に、動揺のあまり思わずビクッと体を動かしてしまう。
 その時、オレは勝子から押され、ベッドに仰向きに転がされていた。

「はっ?」
「わだしね、光正が、好ぎなの……。信子も光正のことずぎだっで、じっでいるのにぃ……」

 ポロポロと零れる涙が、オレの頬を濡らす。
 そして、ここまでされてようやくオレは全てに得心がいった。
 どうして信子が秘密にするように言ったのか。
 思いのほか勝子が追い詰められていたと言うことさえも。

「みづまざぁ……、信子と、シた、でしょ?」
「……おう」
「やっばりぃ……」

 オレの言葉に泣き叫ぶ勝子。
 流石にここまで来てウソをつくわけにはいかなかった。
 そして、もっと決定的な一言を言わないといけない。
 そう覚悟を決めた。
 はずだったのに……。

「がぢゅっ、ぢゅる、ぢゅぱ」

 オレはすっかり勝子に捕食されてしまっていた。
 勝子の可愛らしい顔が俺の顔の上に乗っかっている。
 もちろん、咥内には勝子の舌が侵入して、貪欲にオレの舌を味わっている。
 いけないと思いながらも、はねのけられない俺がいた。
 それは、勝子の気持ちを慮ったからではない。
 押しつけられた胸の迫力に抗えなかっただけだった。

「お、おい、勝子、やめろって……」

 ようやく口が解放されてからも、俺の声はいかんせん弱かった。
 貧乳は貧乳の、巨乳は巨乳の良さがある。
 そして、勝子は小柄な割に非常に大きな胸を持っていた。
 制服越しにも分かる。
 信子ではあり得ないほどの弾力。
 まるでゴム鞠のような肉球がそこにあった。

「やめない。私も信子みたいにしてもらうんだから」

 信子の名前が出て、一瞬冷水を掛けられたように冷静さを取り戻す。
 そう信子はクローゼットにいる。
 このままだと、明らかな浮気現場を見られてしまう。
 いや、まだ正式には付き合っていないから、浮気ではないのかもしれない。
 だけど、ここで勝子とした後で、どの面下げて告白できようか。
 オレはちらりとクローゼットの方に視線を向ける。
 僅かに隙間が空いていた。
 
『見られてる……。信子から俺たちは見られてる』

 ぞっとした。
 だが、そうと分かった以上、このままにしておく訳にはいかない。
 そう思って勝子を引き離すために手を伸ばそうする。
 だが、その時再びクローゼットの隙間が視線に入った。
 先ほどよりももう少しだけ開いており、ちょうど信子の口が見える。
 唇がゆっくりと動いた。

「や・り・な・さ・い」

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