オンナ絡みの揉め事、解決します。 (Page 2)
依頼
俊一は美也子を抱いた日の午後、浦和(さいたま市)にある一流ホテル・「T」ホテルの喫茶ラウンジにいた。その日の明け方に美也子に2回戦を挑まれた直後に、電話がかかってきたからである。
「朝早く失礼します。不動産屋サンの紹介で電話したのですが『何時でも構わない』と言われたものですから」
「大丈夫ですよ。冷やかしでなければね。何を聞いたか分かりませんが“殺しと薬物関係”以外なら、できる事はヤリますよ」
美也子は、2度めのシャワーを使いに行き、話しの内容は聞かないようにしていた。
結構、気をつかうオンナだ。さすが、若くして先代(自分の母親)から店を継いだだけの器量を持っていた。
「危険や非合法な頼みではありません。1度、話しを聞いてもらえますか?」
そうして、依頼人候補の都合のいい浦和で待ち合わせたのである。俊一は弁護士や個人の探偵と違って、相談料を貰うシステムは取っていない。
その代わりに、素人にとっては割高な成功報酬をいただいていた。
その男は仮谷真司(52歳・中堅商社勤務)と名のり、自分のモノではなく紹介者の不動産屋の名刺を見せてから、依頼内容を語り出した。
仮谷は再婚で17歳年下のOLと再婚していた。
入籍してからは、その妻を“軽く調教”して「M」に目覚めさせる事に面白味を感じてからは性癖とも言える浮気もせずに、週二のペースで婚内セックスに勤しんできたという。
その仮谷はプレイの一貫として「倦怠期になるとマズイから、『複数』でもヤッてみないか?」と誘ったのが事件の発端のようだった様子だ。
元来がおとなしいうえにMに調教されていた妻・恭子は「No」とは言えずに、いつものように夫の言う通りにしたという。
その夫婦がかりの火遊びの相手は、「出会い系サイト」を使うと、すぐに見つかったようである。
「私たちは50代と30代の仲良し夫婦です。まだ倦怠期になっているわけではないのですが刺激が欲しくてメッセージしました。初心者なので優しくリードしてくれるカップルさんがいたら、スワップからはじめませんか?」
という具合にメッセージを掲示板に送ったのだった。
無論、手はずは旦那の仮谷が喜んで整えたのは想像に難くなかった。
それどころか、本当は最初から乱交に加わりたかったくらいだったが、「それだけは、まだできません。許してください」と恭子が半べそをかきながら哀願してきたので、断念したらしい。
「羨ましいかぎりですね。私には従順すぎるのは物足りないですけど」
その俊一の嫌味に対して、一瞬、怪訝な顔を見せたものの、そこは百戦錬磨の企業戦士。何事もなかったように話を続けていった。
その初スワッピングの相手が40代の物腰柔らかなA夫妻で、「いい夫婦」に見えたので、
「実は人に見られながらの行為が苦手で“別室プレイ”にしませんか?」
と提案されて、従ってしまったのが悲劇の始まりらしい。
そして、仮谷が言うには、どうも恭子はその日から夫婦でのセックス中は眼が朧ろで以前よりも感度が鈍くなったというのだ。
それに、ガソリンスタンドのレシートを拾ってみると、買い物しかしていないというのにガソリンの減りが早くなってもきていたのである。
胸騒ぎがした仮谷は、翌日の昼間に口座を確認してみると一挙に100万円の引き出しが発覚。その後も5万、10万とチョロチョロと引き出されている事が分かった。
そのくらいの金額で済めば「ホストにハマった」よりは軽症である。それよりも、何かのイザコザに巻き込まれて、会社の知る事となった場合は非常にマズイ事態に陥るのが恐かったのだ。
そうならないために、仮谷は意を決して恭子に問いただしたと言っている。
恭子ははじめ、「どうしても実家で用立てて欲しい」と言われたとか「友人が事故をして、夫に知れたら離婚されると泣きつかれた」とか、辻褄が合わない言い訳をしていた。
ところが、仮谷が、
「ふざけるんじゃない! これはプレイではなくて本気で聞いているんだぞ!」
と、大声を出すと泣きながら真相を話し出したのだとか。
少しのつもりがこんな時間
一気に読み終えた。
細かいとこまでマニアック。
面白い
うぞんけ さん 2020年11月29日