お義父さんのペット (Page 2)
公園で時間を潰し、夜遅く家に戻った私は、そそくさとシャワーを浴びて自分の部屋に閉じこもりました。
台所に立っていた母は、「学校どうだった?」と普段通りの様子でしたが、顔を見ていると昼間の光景が思い出されて、どうしても世間話をする気にはなれませんでした。
(…あんなの、お母さんじゃない…)
もう籍だって入れているのだから、母と義父に夜の生活があったとしても、別に咎める理由は何もありません。
(だけど、昼間のリビングで…しかも変態みたいな…)
…母は好き好んであんな真似をしているのだろうか。
父が亡くなって十数年、美人なのに浮いた話もなく、私に尽くしてくれた母親。
本人があれで良いのなら、と思おうとしましたが、母より一回りも年上で、いかにも成金の中年オヤジといった風貌の義父をもともと好きでなかったのもあって、私は中々受け入れられずにいました。
「…由香里ちゃん」
「きゃっ?!」
その時、いきなり耳元で義父の声がして、私は寝転がっていたベッドから飛び起きました。
「ごめんごめん、驚かせたね」
「な、何ですか?」
「いやぁ、昼間は悪かったと思ってさ。学校が早く終わるなんて知らなかったもんだから」
「あっ…」
無かったことにしようと思っていたのに、私が見ていたことを義父は気付いていたようで、ニタニタと笑いながらベッドに腰を下ろしました。
「わ…私、何にも見てませんから!もう寝るので、出て行ってください!」
「おやおや、ちゃんと見てなきゃダメじゃないか。君の学費の為に、お母さんがあんなに頑張ってくれてるのに」
「…えっ…?」
私が顔を上げると、義父は馴れ馴れしく肩を抱いて体を寄せてきました。
「ち、ちょっと…」
「それとも由香里ちゃんは、お母さんが好きで真昼間から雌犬ごっこをしてる変態とでも思ってたのかい?案外親不孝だなぁ」
…親不孝。
ずきんと胸が痛みます。
「美奈子さん、旦那さんが亡くなってからずっと口説いてたんだけど、中々身持ちが固くてねぇ。君の行きたい私立大学の学費と一人暮らしの生活費、塾のお金も全部出してあげるって約束して、やっと僕のものにできたんだよ」
だから何を要求しても逆らわないんだ、と義父は誇らしげに言いました。
「嘘…そんな…私のせいで…」
私はそれを聞いて申し訳ないと思うと同時に、母が無理矢理従わされていたのだと分かって、ほっとした部分もありました。
「…お母さんを楽にしてあげたくないかい?」
義父は私に脂ぎった顔を近付けて聞きました。
どうせろくでもない事なのは分かっていましたが、今まで苦労ばかりかけてきた母に、これ以上大変な思いをさせるわけにはいきません。
「…何をすれば…いいんですか…?」
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