夜のレッツ・マッスル! (Page 4)

「そういえば最寄り駅は一緒なのね」
「そうですね、だからあのジムを使ってたんですね。でも気付きませんでした」
「一応、恥ずかしいから会社の遠くでやってたんだけど、逆に近かったのね……」

 楠末部長の家は、駅から10分程度のところにある新築のマンションだった。
 いつも駅に向かう時に気になっていた建物だったので、少し驚いた。

「じゃあ、ちょっと待ってて」

 そう言って俺を一人リビングに残して、部長は出て行ってしまった。
 何となく手持ちぶさたになってしまい、リビングをぐるりと眺める。
 ホームシアター感のあるでっかいテレビに、今自分が座っている大きなソファと、やはり部長ともなると良い部屋に住んでいるのだと実感した。

「何か、あんまりものがないようなイメージがあったけど、ちゃんとしてるんだなあ」

 そんなことを考えていると、トレーニングウェアに着替えた部長が戻ってきた。
 手にはヨガマットを持ってきてるあたり、準備は万端だった。
 タンクトップにスパッツだから、どうしても体のラインがはっきり見える。
 思わずジッと観察してしまうオレ。
 まったく胸がないとは言わないが、スレンダーで明らかに痩せぎすな体だった。

「お待たせしたわね。ここでいいかしら?」
「あ、はい。あっ、ソファずらしてもいいですか?」
「構わないわよ。床に傷をつけないようにね」

 オレはソファを持ち上げると傷をつけないように動かした。
 そんな姿を見て感心したように楠末部長が口を開く。

「藤沢君って思ったよりも力が強いのね……。私、そのソファー押してもまったく動かなかったのよ」
「まあ、男ですから……」

 そんなやり取りをかわしてから、ヨガマットを敷くとまずストレッチを始めた。
 先程見た、体のラインを確かめるように、肩から足先まで念入りにほぐしていく。
 さりげなく胸や太もものきわどいラインをねっとりと攻めていった。

「ちょっと、手つきがいやらしくないかしら?」
「そうですか? でも部長、体固いって言われるでしょ。しっかりほぐさないと」
「……まあ、そうだけど」

 ちょっとあからさまにしすぎたせいか、警戒したような声を上げる楠末部長。
 オレは何とか取り繕って、なおも部長のマッサージを続けた。

「……藤沢君、まだするの?」

 楠末部長の声が少しだけ緩く、暖かいものになったのを感じる。
 そろそろだな。
 そう思ったオレは、背中からストレッチをするふりをして彼女の胸の蕾を軽くつまんだ。

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