20年の時を経て (Page 2)

 それから俺は、1週間から10日毎に店に通い、その度に佐恵子を指名した。そして、今日も佐恵子を指名していた。

「うごっく…くふっ!くふっ!うごご…」

 俺と佐恵子は、いわゆるシックスナインをしていた。佐恵子は感じやすいらしく、俺が佐恵子の花芯に吸い付く度に、佐恵子は身体をびくびくと痙攣させ、俺の肉棒を強く咥えた。そして、俺のほうもそれに反応し、

「おぉっ!お、おぉぉ…」

と声を出した。

 そして、お互いの舌や口の動きが激しくなってきた。2人とも絶頂が近いのだ。

「うっ!おっ!おぉっ!!」

「うぐっ!うごっ!うごごっ!!」

 個室にはぬちゃぬちゃといやらしい音が響く。そして、一瞬早く佐恵子が絶頂に達して全身を激しく痙攣させた時、俺も佐恵子の口の中いっぱいに、肉棒からザーメンを放った。

「ふうぅ…おぉ…」

 俺の肉棒は赤黒いままだったが、力はみるみる引いていった。佐恵子は俺のザーメンを飲み込むと、目を細めて俺に向かってニコリと笑った。

 

 俺は、事が終わった後の一服を楽しんでいた。すると、珍しく佐恵子のほうから口を開いた。

「私の母、先日他界したんです」

少し伏し目がちに言った。

「私、父がいなくて、母は女手一つで私を育ててくれたんです」

 俺は煙草の煙を吐きながら言った。

「君のお母さんなら、まだ若かったんだろ?」

「はい。元々体は華奢で丈夫なほうではなかったんですが、長年の無理が祟ったんでしょうね…」

 俺は佐恵子の肩を抱いた。

「私は、母が行きずりの男と寝たときに出来た子どもらしいです。私は何回か、父はどのような人だったのか訊いたのですが、答えはいつも『あなたのお父さんは、とても優しい人だったのよ』でした」

 そう言えば、俺も約20年前、学生時代に居酒屋でたまたま一緒だった若い女とワンナイトラブをしたことがあった。その女も、華奢で儚げな子だったな。確か名前は『葉月』といったはずだ。

 俺はうつむき加減の佐恵子の横顔を見た。白い肌、神経質そうな尖った顎、細めの目…まさかとは思うが…

「佐恵子のお母さんの名前は何っていうんだい?」

 俺は恐る恐る訊いた。佐恵子は不思議そうな顔で、

「はい、『葉月』っていいます」

 俺は脳天に雷が落ちた!きっと佐恵子はあの時できた子どもなんだ!そうに違いない!

 俺は抱いていた肩から手を離した。そして少しうつむいた。佐恵子は不思議そうな顔をして俺を見つめていた。

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