癒しの催眠セラピー

・作

残業で疲れ果てた夜、たまたま入ったマッサージ店。うっかり眠りそうになっても、リラックスしすぎてお漏らししても、先生はずっと優しくて…荒んだ独身OLも、イケメン整体師の優しいオイルマッサージで、身も心もトロットロ。

「あぁ、もうこんな時間…やだなぁ、いっつも私ばっかり」

繁忙期だというのに、職場は寿退職・育休産休ラッシュ。

仕方のないことですが、そのしわ寄せは全部20代独身で彼氏すらいない私に来るわけで、最近は毎日のように日付が変わる時刻まで残業をしていました。

家に帰ったって、誰もいない部屋と朝食を食べたままの汚れた食器が待っているだけ。

そう考えると、帰宅する足取りも重くなります。

「…ん…?」

そんな私の目の前に、小さな看板が立っていました。

「疲れたあなたに、癒しの極上マッサージ…こんなお店あったかな?」

書かれている料金はけして安い物ではありませんでしたが、今の私にとっては魅力的なワードが並んでいます。

どうしようかな、と悩んでいると、お洒落な玄関から白衣の優しそうな先生が出てきて、『OPEN』の札を裏返しました。

「あ…」

「!ああ、すみません。どうぞ、お入りください」

「いいえ、もう閉店なら、また今度…」

「…でも、お疲れでしょう?最後なので、ゆっくりサービスしますよ」

低いけれど優しい、不思議な声です。

私は誘われるまま、間接照明でぼんやりと明るい部屋の中へと入っていきました。

 

カルテに名前や住所を記載した後、体の緊張を取ってくれるという大きなカップ1杯のハーブティーをいただき、裸になって茶色のバスタオルを巻くよう指示されました。

…先生とはいえ、男の人の前でタオル1枚になるなんて久しぶりだなぁ…

ふとそんなことを考えてしまい、少し恥ずかしくなります。

「どうぞ、こちらにお掛けください」

「あ、はいっ」

更衣室のカーテンからおずおず顔を出した私を、先生はタイミングよく誘導してくれました。

ホテルのような、大きいふかふかのベッド。

整骨院でよく見る、幅が狭くて硬い施術台とは全然違います。

先生はベッドに腰掛けた私の後ろに座り、手際よく髪をアップにしてくれました。

「すみません」

「いいえ、まっすぐで綺麗な髪ですね。マッサージの前に、アロマオイルを塗ってもいいですか?」

「はい、お願いします」

温められて良い香りのするオイルが、肩から背中に垂らされ、先生の手がゆっくり肩を揉み始めます。

「…だいぶ凝ってますね~。長時間パソコンを使われますか」

「はい、一日中…今は特に忙しくて…」

「大変ですね。今日はじっくり解して差し上げますから」

「ありがとう…ございます…」

耳の側で響く、先生の声。温かい手の平。オルゴールのBGM。甘い香り。

血行が良くなってきたのかドキドキすると同時に、部屋に溢れている癒しの要素で、段々眠たくなってきます。

ついうっかり、ふらりと傾いた私の体を、先生は後ろから抱きしめるように支え、耳に吐息のかかる距離で優しく囁きました。

「…このままお休みになられても構いませんよ。ちゃんと支えていますから」

「ぁっ…いえ…ごめんなさぃ…」

肩周りを丁寧に解し、先生の手は肩甲骨を撫でて腰の方へ。

「すみません、背中だけタオルを外してもよろしいですか?」

「…ぇ…?は、はい…どうぞ…」

「失礼します」

バスタオルで前だけを隠すような状態になり、露わになった背中を大きな手の平がゆっくり撫でまわしました。

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