契約成立~研究室の甘い罠~ (Page 5)
「僕と寝ないか」
寝る。セックス。
「先生、あの、無理です」
「無理、無理か……なぜ? 君はあの男とまだ続けるつもり?」
「それは……無理ですけど」
「そう。なら、これは浮気じゃなくなるね」
「先生、そういう問題じゃないんです」
「どういう問題?」
「だって、お付き合いしてませんし……」
お付き合い、その言葉に鈴本が笑う。
「君は可愛いね。じゃぁ、僕が君を好きなら問題ないかい?」
突然の告白に、薗田は口を開くだけだった。
「君が気になるから、あんな男から救いたい。だから、寝たい。君はもう別れるつもりだろ? なら、いいよね」
「良くないです」
「なぜ」
「私が先生の事、尊敬はしていますが好きではないからです」
薗田の答えに、鈴本は少し考えるように顎の下に指をやる。
「じゃぁ、こうしよう。これは契約だよ」
「契約?」
「USBのことを不問にする代わりに、セックスする」
「脅迫じゃないですか!」
「僕はどっちでもいいよ。君が決めなさい」
「酷い!」
「酷い? 心外だな。選択肢を与えているだけでも、十分すぎるだろう。本来なら君、即刻退学だし、退学だけでなく訴えられる話しだからね」
ガタガタと震える薗田に、鈴本は語りかける。
「僕だって、優秀な君を退学になんてしたくないんだよ。君のおかげで僕の研究は随分と進んでいる」
研究、という言葉に薗田は鈴本を見つめる。
「本当だよ。だからこそ、君が鍋島くんのような男に利用されるなんて本当に辛いし耐えがたい。……君は僕にこそ、必要な存在だよ」
「先生……」
薗田が大人しくなったところで、鈴本は「じゃぁいいね」と言い放った。
「君はマグロだと言われていたね」
シュルという音でネクタイが外された。
「だが、本当にそうなのか、知りたくはないか?」
「せ、先生、あの、」
「単に、鍋島くんが下手だったかもしれないし、相性が悪かったのかもしれない」
「先生やっぱり」
「これは合意だよ? 君の不正行為を不問にする代わりに、僕に抱かれる」
「い、嫌です! やっぱり無理です!先生、止めて下さい!」
「なら、学校に届けようか」
にっこりと微笑む顔に、薗田は恐怖しか感じない。
「今なら、不問にできるよ?」
笑いながら鈴本は薗田の衣服に手を掛ける。
「僕は君を丁寧に抱いてあげる」
ボタンが一つずつ開けて行かれるのに、薗田の体は動かなかった。
ボタンが全て開かれ、出てきたのはささやかな胸。
「可愛い胸だ。誇っていいよ」
最初に鍋島に抱かれた時明らかに落胆していた様子を思い出し、薗田は本当かと尋ねる。
その様子に鈴本は可愛いな、と笑いかける。
「本当だよ。男がみんな胸が大きい方が好きってことはないよ」
その言葉だけで薗田はゆっくりと緊張が解けていくのを感じた。
「君は少し単純すぎて怖いな。でも、大丈夫……これからじっくり僕がいろいろ教えてあげるからね」
微笑みながら、鈴本は薗田に唇を寄せる。
薗田は逃げることなく、キスを待つ。
「契約成立だ」
はは、と笑いながら鈴本の手がゆっくりと薗田のブラジャーに手がかかる。
その手がかさついていて、薗田はこれからどんなことを行われるのかと期待に胸が膨らみ、そっと目を閉じた。
(了)
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