契約成立~研究室の甘い罠~ (Page 4)

すっとティッシュが差しだされる。

お礼を言いながら、薗田は少しずつ冷静になっていく。

「先生、どうして……この映像持っているんですか」

薗田の質問に、鈴本は笑った。

「鍋島くんは君以外にも何人かの女性と関係を持っていてね」

「え」

知らなかった事実に、薗田は驚いた。

「授業に出ていないはずなのに、レポートの出来は良い。疑問に感じた先生が他にもいてね」

自分以外にも、女がいた。

薗田はぐらぐらする頭のまま、鈴本の話を聞いていた。

「一人の生徒が揉めたみたいで、そこでバレたんだよ」

「そうなんですか……」

自分は知らないまま、まんまと就職した後も世話をしていたわけか、と薗田は打ちひしがれた。

「バレた内容は彼女の好意によるもの、で片付けられたんだが……まさか君がまだ続いているなんてね」

「でも、先生……この映像はどうやって?」

「麗香って女性はね、僕の元恋人でね」

「え」

「彼女はとても優秀な研究者なんだが……男癖が悪くてね。夫が出来て変わるかと思ったがまだ変わらないんだ」

はは、と呆れた口調で笑うが薗田は映像はなぜ持っているのかと追求した。

「麗香の所に鍋島くんが入社した後、麗香は僕のゼミを取っていた学生だって知ってね、からかい始めたんだよ」

「……え」

「僕が今どんな研究をしているか調べられたら寝てもいいってね」

「それって、」

「彼女と僕は恋人ではなくなったが、同じ研究者としてはお互い尊敬している。だから未だに付き合いがあるんだよ」

「先生、それじゃ、」

「でも、まさか本当に君が……僕を売ろうとするとはね」

「酷い、最初から仕組んで」

「仕組む? 違うよね。君が彼の言う事を聞かなければ、問題ない話だった」

「こんなやり方、」

「しかし、恋をすると本当に人は愚かになるね。君だってUBSなんてあからさまことすればすぐにバレることくらいわかるだろ」

鈴本の言葉に、薗田は唇を噛んだ。

「しかし、綺麗に撮れていたな。こうやって僕に自分の有能さを見せつける癖も抜けないままだな」

そう言って電源を入れる。すると先程の続きだろう喘ぎ声が聞こえる。

「おっきぃ胸、すげぇ揺れてる。絶景っすよ。ブルンブルン揺れてる。咥えながら感じてるんすね、腰動いてますよ」

喘ぐ声の合間の言葉に、薗田は耳を塞ぎたくなった。

薗田とセックスをしていた時は、こんな事言ったことなかった。

鍋島はただ腰を使い、義務のような繋がりだった。

それなのに、薗田の耳に届く声は本気で感じている声だった。

その事実に薗田は悔しさと情けなさで一杯になる。

「お、おおお、出る、出る……麗香さん、出るよぉっ」

激しく叫んだ所で、薗田は鈴本に飛びかかり端末の電源を落とした。

はぁはぁと息を荒げ、この感情をどうしたらいいのか悩んでいる薗田に、鈴本が端末を取り返しながら、告げる。

「さて、ここからだよ」

「え」

「今のやりとりは、許せないだろう。その気持ちはよくわかる」

微笑んだままの鈴本が怖かった。

「でも、君のしたことが許されない行為であることになんら変わりは無い」

「先生、あの」

「そこで、提案だよ」

端末がテーブルに置かれる。

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