眼鏡の似合う優等生な幼馴染みは色々大きかった件 (Page 3)
家に上がった秀子を部屋に誘導しようとしたときだった。
「光正、おうちの方はいないのか? 挨拶しようと思ったのだが」
「ああ、今は旅行中だよ。帰ってくるのは明後日かな」
「そうか……、じゃあ、玄関の鍵を掛けなくて良いのか? 不用心だぞ」
「お、おう、そうだな」
勝子達に鍵を開けておくように言われていたが、秀子に指摘されてはそのままでいるわけにはいかない。
まあ、後で隙を見て開けに来れば良いと思って、一端鍵を掛けて自室へと二人で向かった。
「ちゃんと片付けされているじゃないか」
秀子はオレの部屋に入ると、くるりと眺めてからそう言った。
「おいおい、そういう所で姉ぶらなくても良いじゃないか」
「すまないな。つい癖でな……。ところで、私に何か話があるのではないか?」
いきなり秀子がそう振ってきて驚いた。
思わず返答に窮してしまう。
「いや、わざわざ部屋に招くほどだ。ただの食休みではなく、何か話があったのではないかと思ってね」
流石に聡い秀子はオレの態度から読み取っていたらしい。
さて、どういったものかと考えていると、秀子が言葉を続けた。
「どうせ、勝子や信子達が今日来なかったのも、そういうことなのだろう?」
「……そこまで、分かっているのか」
「いや、それは今分かったことだよ」
見事に鎌掛けに引っかかったらしい。
やられたと思ったが、後の祭だった。
「さて、そろそろ正直に話してもらっていいか、光正。あの二人の入れ知恵も含めてな」
「はあ……、仕方ないな。じゃあ、正直に話をするよ。……その前に一つ聞いて良いか?」
オレの真剣な口調に、秀子は少し考え込んでから、まっすぐ見返してきた。
「構わないよ。改まって何をかな?」
「秀子、オレのことどう思う?」
秀子はちょっとだけぽかんとして、すぐに答える。
「いきなりな質問だな。そうだね、大切な――、友人だよ」
すっぱり言い切られたが、その前に僅かに間があったことをオレは聞き逃さなかった。
だから、まっすぐに気持ちをぶつける。
「オレはお前のことが好きだよ。もちろん、友人としてではなく、異性として」
「……はっ? 冗談も休み休みにしたらどうだ?」
一瞬呆気にとられた秀子だったが、その後に出た言葉は語気が強かった。
怒っているようにも聞こえたがそれだけではなさそうだった。
「冗談じゃない。本気だ」
「本気だったらタチが悪いな、勝子の気持ちを知らないのか? もしかしたら信子だって――」
「――二人の気持ちは知っている。知った上で、こうして言ってる」
「ふぅん、それはいっそうタチが悪いな、光正。ということは、二人の気持ちを踏みにじって、私を選ぶと?」
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