セフレ以上恋人未満 (Page 4)

 彼と会ったのは、たまたま彼が最初に連絡をくれたからだ。
 不倫相手の妻に牝犬呼ばわりされた挙げ句悪者にされて捨てられ、自棄になった結果だった。
 もちろん、慰謝料にするお金が必要だったのもある。
 そんな女に優しくする男が信じられるはずもなかった。
 でも彼は彼女のさまざまな嘘を信じて、援助してくれた。
 彼はずっと優しかった。
 まるで、ミナが笑うことで慰められるかのように。
 だから、会うたびに金を払わせている自分が嫌いで仕方なくなっていた。
 そんな時に、プレゼントをもらった。
 最初に話題に困って話した誕生日。それも嘘だったから、心が苦しくて仕方ない。
 もう、こんな気持ちで彼に会うのは辛い。だから……。

「あっ」

「あ、ごめん。痛かった?」

 ベッドに寝かされて思わず出た声に、彼の優しい声が応えた。
 すぐ目の前にある彼の心配げな瞳に、何もかも吸い込まれるような気がする。

「こ、コウ君が変なこと言ったから、私も昔のこと思い出しちゃったじゃん」

 慌てて言い訳すると、彼の表情が変わった。
 お金が必要な理由として不倫のことを告白した時に、彼が見せた顔と同じだ。

「っ! そっか。じゃあ、ぜんぶ忘れさせてやるよ」

「え?」

「あんな男のこと忘れられるように、俺が頭ン中真っ白にしてやる」

「ちがーー、んんっ!」

 ミナは「そうじゃない」と説明しようとしたが、彼はそれを妨げるように唇を塞いできた。
 もう、あんな男のことなんか思い出にもなっていないのに。
 思い出したのは、あなたとのことだけなのに。
 舌がねじ込まれ、舌の裏や歯茎の表面を撫でるように這いまわる。
 彼の太い指が肌の上を優しく滑り、もどかしい痺れを全身に起こす。
 身体が震え、力が入らなくなった。
 頭がフワフワとしてきて、どうでも良くなってきた。
 彼の指が鳩尾から臍、内股に届く。

「ん、んんんふ! んん、んん、ん、んん!」

 猫が甘える時のような嬌声が、勝手に漏れた。
 腰が勝手に踊り出し、両手でシーツを掴んでいないと跳ね飛んでしまいそう。
 恥ずかしくて太股を閉じたいのに、勝手に脚が開いて腰を浮かせる。
 そこに彼の指がもどかしい痺れとともに走り、淫水に塗れて肌に張り付いたヘアーを掻き分けた。

「ぷあっ! や、んはあっ! コウ君、だめっ! それ、ずるいいっ!」

 膝を立てて浮かせた腰をガクガクと震わせている自分を棚に上げ、ミナは彼を睨みつける。
 しかし彼にはその顔すらご褒美だったらしく、嬉しげに微笑んで、ミナの片方の太股を肩にかけた。
 そして、内股に優しく舌を這わせながら、指先で陰唇のすぐそばを優しく撫でる。

「ん、んんん! あ、あああ! や、やあっ! ん、ん、んん」

 もっとも待ちわびている場所のほんの数ミリ横からのもどかしい刺激。
 自分から腰を動かし指を誘導してみるが、彼の指は分かっているかのように逃げるだけだ。

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