老いるには早すぎる (Page 2)
「傘を持ってきていなくて……」
叩きつけるような土砂降りを指さして肩をすくめる。
エレベーターでのキスが脳裏をよぎった。
期待している訳じゃない、同僚として当然だと言い訳しながら傘を差し出した。
「駅まで入っていくかい?」
傘に叩きつける雨は激しく、雨音が強くて会話がなくても気まずさは感じられなかった。
「肩、濡れますよ」
琴葉が体を密着させてきた。思わず立ち止まると、琴葉が見上げてきた。
「いや、俺は構わないから」
「でも」
その時、車が盛大に水たまりの水を跳ね上げて通り過ぎた。
「あっ」
ぐっしょり濡れたスラックスを見て、琴葉が言った。
「これじゃ電車に乗れませんね。……乾かしていきませんか?」
いいのだろうか、と明久はシャワーを浴びながら考えた。
雨が降っているのだから服が濡れていてもおかしくない。電車でも立っていれば他の乗客に迷惑はかけないだろう。それでも誘いに乗ったのは、まだ男として枯れたくないと思っているのか。
ラブホテルなんて、妻とも入った事がなかった。
「人見さん、私も入っていいですか」
「えっ?」
答える間もなくドアが開いて琴葉が入ってきた。手で胸と股間を隠し、頬を赤く染めている。
「体が冷えてしまって……」
「あ、ああ」
明久が位置をずれると、琴葉が体を押し付けるように横に並んだ。肌が水滴を弾くのを見ながら、まだ若いのにどうして俺と、と疑問がわいてくる。
腕で押さえつけて隠しているせいで、たっぷりとした胸の谷間に湯がたまっている。
「触って、くれないんですか」
明久はためらった後、琴葉の手首をつかんで、隠している腕を外した。胸の谷間から湯が流れ、頂きの淡いピンク色があらわになる。
下半身に触れてそっと指を差し入れると、湯ではないもので濡れていた。ヌルヌルした熱く狭い穴に指が飲み込まれていく。
琴葉が明久のペニスを握った。お互いの胸を密着させてこすり合う。柔らかく潰れた胸の頂点が硬く尖って明久の胸を刺激する。
「んあ、は、はあ」
中のヒダをこねくり回すと、お返しとばかりに亀頭の先をこすられる。小粒の陰核を刺激すると袋を揉みしだかれた。マッサージの気持ち良さを煮詰めたような感覚に耐えきれず、精液を噴き出した。
かけられて興奮したのか、キュウッと締め付けが強くなって琴葉がさらに体を押し付けてきた。
イッた余韻で頭がぼうっとする。
「ベッドに行きませんか?」
「……ああ」
体を洗い流し、バスタオルを巻いて浴室を出る。ベッドに並んで座り、明久は尋ねた。
「どうして俺なんかを……」
「まだ信じられないですか?」
「年も離れているし、もっといい人がいるだろう」
「私は人見さんがいいんです」
「どうして……」
「最初にいいなと思ったのは経理部の部長に絡まれていたのを助けてもらった時です」
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