老いるには早すぎる (Page 4)

「くうんっあーっああっ」
 突く動きに合わせて胸がブルブル揺れる。谷間に顔を埋めて、両側から押し揉みながら乳首を親指でいじる。
「あうっ同時っすごいっ」
 明久の腰に足を絡ませ、琴葉がとろけた声を上げる。

「ううっ」
「んくうっ……」
 ゴムの中に精液を吐き出し、琴葉からずるりとペニスを抜く。
「んん……」
 汗だくでほんのり桃色に染まった体を見下ろす。フルフル震える乳首やひくつく割れ目を見ていると、欲望がもたげてきた。
 明久がコンドームをつけ替えたのに気づいて、琴葉が両腕を広げた。
 
「来て下さい……欲しがってもらえるの、嬉しいです」
 ぐっと入り込むと、琴葉が背筋を反らした。
「ああんっ……」
 とろけきった顔で明久を強請る。
「もっと……もっと下さいぃ」
「くっ……」
 グチグチと奥を突きながら抜き差しする。

「ひああっああっ」
 唇を重ね、唾液が端からこぼれるのも構わず舌を絡ませる。
「んっ、んうう……!」
 くぐもった声を上げながら同時に絶頂に達する。

 さすがに体にこたえて、抱き合ったまま荒く息をついた。
「年甲斐もなく張り切り過ぎたようだ」
「我を忘れるほどのめり込んでもらえて嬉しいです」
「明日が休みで良かったよ……」
 これからはペースを考えなければなと、琴葉の髪をいじる。その指を甘噛みされて、明久は苦笑した。
「もう煽らないでくれ……」

*****

「人見さん、最近何だか若々しくなりました?」
 数日後、会社で同僚に訊かれて明久は頭を掻いた。
「そうかな」
「はい。何か始めたとか?」
「ああ、まあね」
 あいまいに答えて琴葉を見る。視線に気づいた琴葉が微笑んだ。

 この年になって恋愛するとは思わなかったが、と心の中でつぶやく。枯れたと判断するには早かったようだった。
恋を知ったばかりの青年のように浮き立ちながら、明久は仕事に戻った。

(了)

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