枯れ専美女は上司を襲いたい (Page 2)
彩はその性癖から随分年上の男性とばかり交際してきた。
顔がいいかどうかは重要視せず、枯れていることこそが彼女にとって基準だが、顔がハンサムならラッキーではある。
正雄の痩せた面立ちと、白髪染めをしていないまだらな頭髪から滲む枯れた疲れに日頃から欲情していた彩だが、といってあからさまにアプローチをかけたりはしてこなかった。
仕留めるなら一発で決めなければならない。じわじわ攻めようとして警戒されるといけないからだ。
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夜道を走る車内に2人きり、彩にとっては絶好のチャンスだった。
「あの、課長」
「はい?」
必ず丁寧語で話してくれる温厚さも、彩が正雄に欲望を感じる所以だ。
こういう人が乱れるのが最高に興奮するし、乱れさせるのが自分ならそれこそ最上だ。
「ちょっとご相談なんですけど、最近駅からの帰り道でちょっと気になることがあって」
「はい」
彩が深刻なトーンで話し出すと、正雄は誠実に耳を傾けた。
「特に残業とかで少し遅くなった日に…歩いていて視線を…感じるんです、誰かにつけられているような…」
「そうだったんですか。警察に相談は?」
「いえ、まだ…具体的な心当たりはなくて」
「そうですか。でも相談だけはした方がいいかもしれませんね。何かあってからでは大変ですから」
「はい…」
「ああ、それなら駅ではなくて樋口さんのご自宅そばまで送りましょうか」
正雄は、彩が願い出る前に自分からそう言ってくれた。
「課長…」
「それも困りますかね、上司に自宅そばまで」
「いえ!…いえ、実はそうお願いできないかと思ってたんです」
「そうでしたか、では案内をお願いします」
「ありがとうございます」
彩は心の中でガッツポーズをとった。
ストーカーを匂わせる話は言ってしまえば嘘だが、ちょっとそんな話をした際の反応に至るまで正雄は彩の好みのど真ん中を貫いてくる。
うずうずと疼く自分の奥の興奮を精一杯抑えて彩はその後大人しく車に揺られた。
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