こっち向いてよ (Page 4)

「…もう、平気…だから…動いていいよ…」

「…リサ」

「?」

「…やっぱ、何でもない」

「ん…!ぁ…はんっ…な、に…?…あっ…あぅ…!」

タケシは私が伸ばした手を握り、何かの腹いせのように噛んでから、そこを犬みたいに舐めた。

「!いっ…、…あ…ぁぅ…んっ…はぁ…っ…」

「はっ…キツ…」

「ぁ、んん…ふ…っあ…ぁ…」

タケシが何を言おうとしたのか気になったけど、最初はゆっくりだった動きが次第に速くなるにつれて、何も考えられなくなった。

「…タケシ…タケシぃ…はんっ…あ…ぁっ…」

「リサ。こっち、乗って?」

「ぅ、ん…」

タケシに腕を引かれて起き上り、座って抱き合う姿勢になる。

「あっ…はぅう…」

ぐっと腰を抱き寄せられると、さっきよりも奥までおちんちんが入ってきて、気持ちいいような、泣きたいような気分だ。

「…ふ…」

顔を近付けてきたタケシが、私の唇を親指でゆっくりなぞった。

「…タケシ…」

ちょっと厚い唇に、今度は自分からキスしてみる。

「ちゅ…」

「…っ…リ、…」

「んー…?…はむ…ちゅぅ…ちゅっ…」

…タケシとこうしてると、あったかくて、気持ち良くて、幸せ…

「はぁ…ね、好き…あっ…」

「!」

キスの合間に私がそう言うと、タケシは動きを止めた。

「…ほんとに?」

「ん…だ、から…ずっと側に居てくれる…?」

「もう20年以上居た」

「はは…ゴメンね、大好き…」

こつんと額を合わせる。

そしてまた何回もキスをした後、私はタケシを布団に押し倒し、今までの仕返しのように前後に腰を動かした。

「はぁっ、あ、…っ…んんっ…ね、気持ちい…?」

「ん…リサ」

「な、に…?」

「可愛い。めっちゃ綺麗…」

タケシはそう言って、月明りに照らされた私の胸から腰をゆっくり撫でた。

「…もっと…あっ、あっ…あぁ、あっ…あ…!」

「リサ、そんなにっ…もう、」

「私、も…っ…イっちゃ…!」

ぎゅう、と体に力が入って、目の前がちかちかした。

終わってしばらくは繋がったまま、タケシはやっぱり私の頭を撫でていたけれど、私が顔を上げると照れくさそうに笑ってキスをしてくれた。

 

「…何で開けたの」

寝心地の良い腕枕に頭を乗せて、耳たぶのピアスを弄る。

タケシはまだ聞くか、みたいな顔をして、ちょっと怒ったように言った。

「お前は色んなとこに穴開けてチャラチャラした奴が好きなんだろ」

「何それ、そんな理由?」

「しょーもない理由で悪かったな。もう寝るぞ」

「わっ!」

布団に押し込まれた私は、目の前の割れた腹筋が珍しくて、その窪みを指先でくすぐった。

「ふっ…、…おい、お前なぁ」

「…明日、髪の毛黒くしてくる」

ね、と顔を出して言うと、タケシは私の髪を指ですいた。

「何回も染めたら傷むんじゃないか」

「だって、黒い方が好きでしょ?」

「男に合わせて黄色くしてたのが嫌だっただけだ。別に、お前は何だって可愛い」

ふわぁ、と大きな欠伸をして、タケシは私を抱きしめたまま本格的に寝に入った。

「…ありがと」

…でもやっぱり、もうちょっと暗い色にしよう。

私はそう思いながら、久々に満ち足りた気分で目を閉じた。

(了)

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