退魔師マコト (Page 4)
朝、街のとある区画はザワザワとしていた。
パトカーが数台停まっており、何事かと野次馬が集まっている。
女性の死体が見つかった……そんな通報を受けて警察が来て、そして野次馬が集まったのだ。
死体を見た警察官は顔をしかめた。
ひどい有様であった。首や手足が千切れている。
肉がなくなっており、骨が見えている。腹に大きな穴が空いている。
腹の中は空……内臓がない。
まるで何かに食われたかのようだと、警察官は思った。
野次馬の中には、マコトの姿もあった。
彼女は普通の人間には感じ取ることができない気配を感じ取っていた。
それは魔物が放つ気配だ。
食われたような死体が見つかった現場からは、その気配が漂ってきている。
食われたような……ではなく、女性は実際に食われたのだ。魔物という存在に。
マコトはその場から離れた。
◇◇◇
ソレは夜が生む闇の中にまぎれ、獲物が訪れるのを待っていた。
足音が聞こえてきた。少しずつ近づいてくる。
ソレの視界に入るのは、スーツ姿の女であった。
仕事帰りのキャリアウーマンだろうか……ソレにとっては、どうでもいいことだ。
今夜の食事であることに、かわりはない。
背中から生えている多数の触手、ソレはそのうち1本をスーツ姿の女に伸ばす。
女は自分に向かって伸びている触手の存在に気づかない。
足首に触手が巻き付こうとした瞬間であった。
バチバチと放電している青白い電光が飛んできて、触手に当たる。
キャリアウーマン風の女の足首に巻き付こうとしていた触手が、電光によって弾かれた。
彼女は触手と電光に気づかず、その場を歩き去っていく。
ソレ……背中に多数の触手を生やす魔物は、電光が飛んできた方に顔を向ける。
「見つけたわよ、魔物」
そこに立っているのは、ブラウスにVネックのニットベスト、デニムのミニスカートという格好のマコトであった。
彼女の右腕はバチバチと放電している光に包まれている。
「退魔師か」
魔物はマコトを睨みながら言う。
人の言葉を発することができるようには見えない容姿の魔物だが、ハッキリとした人の言葉を発した。
知能の高い魔物は人の言葉を発することができる。
「よくも食事の邪魔をしてくれたな」
忌々しそうな口調の魔物に、マコトは「ふんっ」と小さく鼻を鳴らした。
「悪いけど、それがあたしの仕事だからね」
「かわりに貴様を食らってやる」
牙をむき出しにする魔物。
そんな魔物に向かってマコトは右腕を突き出す。青白い電光が魔物に飛ぶ。
魔物に直撃するかと思われた電光だが、背中に触手を多数生やす魔物は、上に跳んで電光をかわした。
マコトは小さく舌打ちすると、また電撃を放つ。空中にいる魔物、電撃を避けることはできないだろうと思った。
だが魔物はマコトの予想に反し、上半身をひねることで飛んできた電光をよけた。
魔物の背中に生える触手の数本が、マコトに向かって高速で伸びる。
慌てて後ろに跳ぶマコト。高速で伸びた触手は、アスファルトの路面に次々と穴を空けていった。
「このっ!」
マコトは両腕を放電させて電光を放とうとするが、それよりも速く、また数本の触手が高速で伸びてくる。
右に左に跳んで触手の攻撃をかわすマコト。アスファルトの路面には1つ、また1つと穴が空いていく。
アスファルトの路面に穴を空けるほどの威力がある触手。その直撃を受けたら、ただでは済まないだろう。
触手は次々と伸びてくる。マコトは電撃を放つヒマがない。避けるので精一杯であった。
だが、一瞬だが触手による攻撃に隙が生じた。電撃を放つチャンス。
マコトは電撃を放とうとしたが、そのとき、彼女の右足首に何かが巻き付く。
それは死角から伸びてきた触手であった。
trsikhiyjt
Muchas gracias. ?Como puedo iniciar sesion?
wihrnhdner さん 2024年11月20日