ミステリアスな未亡人・吉崎さん (Page 2)

次の日、俺の仕事が終わってから待ち合わせをした。

「甥って吉崎さんのですか?」

「亡くなった夫の一番下の弟の子供よ」

「へぇ、」

まだ亡くなった夫との親戚付き合いをしているのか。

しかも、甥となると夫との関係はかなり良好なものだったのだろう。

噂はあくまで噂だな、と偏見はいけないとプレゼントを選ぶ。

何をあげるかを悩んでいた割に、吉崎さんは俺が勧めたものでいいと言い簡単に決まってしまった。

「佐田くんのおかげで素敵な物を選べてよかった」

「喜んでもらえるといいですけど」

「きっと喜んでくれると思うわ。本当に有難う」

よかった、と胸をなでおろす様子に俺もホッとした。

目的は果たしたし、帰るかと思ったところで吉崎さんが家に寄っていかないかと言った。

「お礼も兼ねて、ご飯食べていってほしいの」

ね、と腕を引っ張られその拍子に胸が当たる。

「佐田くん、一人暮らしでしょ? ね?」

やや強引ともいえる吉崎さんの誘いだったが、腕に当たる胸の感触に俺は頷いていた。

 

「あがって」

この家は亡くなった夫と住んでいた場所。

そう思うとなんとなく背徳感があり、妙に興奮した。

すでにいない人ではあるが、ここで吉崎さんは夫と暮らしていた。

セックスもしていたのだと思うと一瞬よからぬ想像が過る。

そう、ここで吉崎さんとセックスするんじゃないかというものだ。

そんなことになるはずない。

そう思っていたのに吉崎さんに通された部屋は寝室だった。

部屋の中にあるのはダブルベッド。

「よ、吉崎さん?」

「ね、入って」

「え、あの、これは……」

「期待……しなかった? それともこんなおばさんじゃその気にならない?」

そう言いながら俺の体にピタリと自身の体をくっつけてきた。

「年上は……いや?」

囁くような声で訊かれ思わず生唾を飲み込む。

思わず動いてしまった喉仏を指でそろりと撫で上げられ、もう一度喉が動く。

「ね、佐田くんみたいな若い子より肌の張りはないかもしれない。だけど、ね」

そこで言葉を切られドキドキしたままでいる俺に吉崎さんから小さな笑い声が聞こえた。

「他のところ、比べてくれない?」

そして耳元で囁かれた内容に俺はそのまま吉崎さんの唇に自分の唇を合わせた。

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