親友のために身を捧げたOLの末路 (Page 2)

 支離滅裂な鈴木君の言葉を聞きながら、私は面白いことになったと思っていた。
 勿論、浅村君を今の都合の良い状況から解放する気はさらさらなかった。
 確かに徐々に彼女面してきているところが鬱陶しくはあったが、それでもまだまだ味わえる部分は多い。
 最後には、営業の礎になってもらうつもりだったが、もう暫く飼っておいてもいいかもしれない。
 何よりも、目の前の鈴木君をハメるための良い餌となってくれるだろう。

「そっか。素晴らしい友情、感服したよ。でも君は誤解している」
「誤解? 何がですか、貴方が浅村を苦しめているのは確かじゃないですか」
「彼女は自由意志で私の所に来ている。それは疑いようのない事実だね」

 鈴木君は私の言葉に、渋々と首を縦に振る。

「……はい。理解したくないですが」
「別に私が職権乱用して何か強制している訳でもないことは理解しているね」
「……何が言いたいんですか?」
「浅村君が私のことが好き、私もまた浅村君のことを気に入っている。そんな二人の関係を引き裂こうというのに、君はまったくノーリスクで済ませるつもりかってことだよ」

 私の言葉に一瞬怪訝そうな顔をした鈴木君だったが、すぐに察したらしい。
 顔を真っ赤にさせながら咆哮した。

「こっ……、この、最低最悪の下衆っ!」
「まだ私は何も言っていないんだけどな……、勝手に判断されても困るんだけど。でも話が早い子は助かるね。じゃあ、どうする?」

 私の言葉に鈴木君は下を向いて暫く沈黙を続けた。
 じっと何か悩んでいる。
 私は焦らせることなく、じっと様子を窺い続けていた。
 時間にしてみれば数分だったが、彼女にとっては永劫の時のように感じられたのではないだろうか。
 鈴木君は、キッと何かを決意した様子で顔を上げた。

「……私が、……私が代わりになります。だから、……浅村から――」
「――これは君の自由意志と言うことでかまわないね」
「……はい。良いです……」

 私は応接室入り口に鍵を掛けると、ソファに腰を下ろした。
 そして机を少し下げ、大股開きで鈴木君に声を掛けた。

「じゃあ、まずは言葉通り、誠意を見せてもらおうかな」
「ここでですか?」
「代わりになってくれるんだろ? 浅村君とは給湯室で愛し合ったこともあるんだが」

 浅村君の名前を出すと、鈴木君はビクッと体を震わせた。

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