5日目の夜 (Page 2)

結婚して2年が経っている割には頻度は少なくないと勇樹は思っている。
葉月は言いたいことは言うタイプの女だが、勇樹が誘って断られたことは1度もない。
そして葉月に誘われて勇樹がその気になれなかったことも1度もない。
セックスしたいと思うタイミングが一致しているのは、それだけ相性が良いということだろう。

自分が葉月に対して性的に不満がある訳でもなく、もちろん浮気もしていない。
マンネリすら感じていないし、葉月もそうだと思っていたから提案は意外でもあった。

しかし葉月は言ったのだ。

「勇樹とのセックスで満たされてないって訳じゃないんだよ?勇樹も知ってるとおり私もせっかちだから、勇樹とのセックスはいつもぱぱっと済ませがちじゃない?そういうところも合うって思うし、短くても毎回ちゃんとイケてるし、私たちって根本的に相性がいいんだよね。だからこそさ、1回じっくりやるのにチャレンジしてみてもいいんじゃないかなって思うの。もしかしたら新しい扉が開けるかもしれないし、難しそうだったら途中で普通にしちゃってもいいんだし」

相性がいいからこそ、気が合うからこそ普段と違うことをやってみたい。
そういう葉月のポジティブで好奇心旺盛なところも、最初に惚れたポイントだったと思い出した勇樹は背中を押され、ポリネシアンセックスをやってみることにしたのだった。

1日目は、1時間以上をかけて見つめ合い、互いの身体をベッドの上でそっと抱きしめあった。
それは互いの性欲を喚起するというより、愛情を確かめ合うような幸福な時間で、性的に焦らしている気はしなかった。

2日目には、やはり見つめ合って抱きしめあい、それからキスもした。
そっと触れるだけのキスから時間をかけてだんだん深めのキスをしていくと、少しずつ性感が呼び起こされるのを感じた。
ゆっくりと、しかし明確に激しくなっていくキスで舌を絡め合うと、くちゅくちゅとした水音が2人の聴覚を刺激した。

「ん…ふっ」

甘い吐息を漏らす葉月の、普段より高く柔らかいトーンの喘ぎ声と滑らかな肌の感触に、勇樹はぎゅっと強く抱きしめたい欲望に駆られたが、それでは意味がなくなると思いぐっと堪えてキスに集中した。

3日目には、見つめ合って抱き合ってキスをして、上半身の下着を外して愛撫し合った。

「あっ…うそ、まって」

乳房にそっと触れると、葉月はこれまでにないほど敏感に反応した。
肩を震わせて、恥ずかしそうにしているが、勃起した乳首が強い興奮を物語っていた。

「んんっ…はぁ」

そっと撫で回しているだけだが、ぞくぞくした快感が全身を巡り、葉月は自分の感覚が信じられなかった。
感じている葉月の顔は紅潮し、普段のさくっとしたセックスでは見せないような恥じらいと興奮が混ざっていて、勇樹もそんな葉月に普段より興奮した。

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