45歳バツイチ男のモテキはラッキースケベから始まる。 (Page 4)
【吉部 香穂子(よしべかほこ)42歳/清掃作業員/シングルマザー】
『今日は密室をつくると親密度が上がるかも??』
今朝の占いの結果を確認しながら今日1日の出来事を振り返る。
(早瀬さんが証拠を揃えてくれていたから、取引先への警告で済んだのが幸いだったが…今日は残業をしないといけないな。)
早瀬さんのフォローに思ったよりも時間がかかってしまった事で、午後の分の定期作業がほとんどできなかった。
時計が18時を回ったのを確認し、私は引き出しからスティックコーヒーを取り、他の残業をする人を横目に給湯室へと向かった。
「おおっと!」
「きゃっ!」
ズデーン!
給湯室に入った途端、中にあった物体に私は足を取られ、無様な恰好で覆いかぶさってしまう。視界の中に大きな物体が入ってきたと分かっていても、40過ぎの体は避けることなど出来やしない。
「いたたた…。」
肩甲骨の下くらいまで伸びた淡い栗色の長い髪と女性特有の甘いにおいが私の鼻をくすぐる。私が足を取られたのは、顔なじみの掃除のおばちゃんの吉部香穂子だった。
しゃがんで給湯室の掃除をしていたのだろう。その上に私が倒れ込んだものだから、後背位の体勢のようになってしまい、重たいと身じろぎをする彼女のデカ尻が下半身に擦りつけられる。
「うう、重たい…です。」
「あぁ!すいません!ケガはないですか?」
「ええ…よっこいしょ。私も掃除に集中しすぎちゃってごめんなさいね、新田さん。今日は残業ですか?」
「ええ…まぁ昼間の仕事がちょっと長引いちゃって。」
「ふふふ、いつもの若い社員さんとの交流会ですか?私なんて自分の娘の会話にも付いていけないときがありますよ。」
香穂子さんの年令は私とそう変わらないが、白髪交じりで下っ腹の出ているオッサンの私とは違い、熟女の醸し出す独特の怪しい雰囲気とムチムチとした体つきで、若い子には出せないエロさと魅力を溢れさせている。
薄手のジャージのような作業ズボンは、下着のラインがうっすらと浮き出て、先ほどのデカ尻の感触が思い出されるし、ポロシャツをはち切れんばかりに伸ばしているその胸も、そこらの男性を誘惑するには充分なサイズを持っている。
「いやいや、話を聞いているだけですし。」
「でも…今朝も若い社員の女の子に手を出そうとして逃げられちゃったんでしょう?手を出すなら私みたいなおばちゃんで我慢しておかないと…大変なことになっちゃいますよ。」
今朝の早瀬さんのビンタは思ったよりも噂として広がっているようだ。彼女を早退させて正解だったな。これ以上好機の目に晒されるのは勘弁してほしい。
「…違いますよ。今朝のことだけで言うなら私は被害者です。」
「ふふふ…そんなに真面目に返さなくてもわかってますよ。新田さんはそんな人じゃないですから。」
会話をしながら香穂子さんの距離が少しずつ近づいてきている。私のネクタイを引っ張り、強引に顔を近づけると香穂子さんは耳元で囁く。
「私は…新田さんのセクハラ。いつでも歓迎しますけどね…。」
「ええ…それは…。」
なんと返していいかわからず、言葉が出てこない。
「ふふ…冗談ですよ。あまり遅くまで無理なさらないでくださいね?」
香穂子さんは掃除道具を持って給湯室から出て行った。女性との付き合い方を忘れてしまった私には、距離が近い冗談は心臓に悪い。
(給湯室…密室…ラッキースケベ…占い、当たったかな。)
先ほどの香穂子さんの身体のムチムチとした感覚を思い出しながら、私はカップにスティックコーヒーを入れ、自分のデスクへと戻ることにした。
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